PRINTED ELECTRONICS ASSOCIATION プリンテッド・エレクトロニクス研究会

PEヘッドライン一覧

2012/12/18 No.57(2012年12月18日)

 

●古河電工、湿式紡糸法により高導電率を有するポリマーフリーカーボンナノチューブ線を作製 (古河電工プレスリリースより)

2012年12月5日

古河電工は、産業技術総合研究所との共同研究にて、カーボンナノチューブ(CNT)分散液をポリマーフリーの凝固液中にてノズルより吐出し、固化しながら繊維化する湿式紡糸法を用いることにより、世界で最も高い導電率を有する高密度CNT線の作製に成功した。このCNT線は、絶縁体であるポリマー成分が含まれていないため、従来の湿式紡糸法と比較し、約20倍以上の高導電率(3.6×10^-4 Ωcm)を有する。(inu)

http://www.furukawa.co.jp/what/2012/kenkai_121205.htm

 

●大陽日酸、高配向CNTの開発にめど (化学工業日報より)

2012年12月4日

大陽日酸は、高配向カーボンナノチューブ(CNT)の開発にめどをつけ、市場展開を本格化する。このCNTは、アスペクト比の高い長尺状であるため、極低の添加濃度でも高い特性が得られることができ、コストダウンに貢献できる。更に、CNT同士の絡み合いが少ないため、さまざまな高機能樹脂複合材への適用を可能とする。(Jo)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/12/04-9262.html

 

●ダイセルポリマー、非可食性バイオプラを開発 (化学工業日報より)

2012年11月30日

ダイセルポリマーは、植物由来成分(セルロース)を重量ベースで40〜50%使用した非可食性バイオマスプラスチックの作製に成功した。新規可塑剤や添加剤の処方配合とコンパウンド技術を用いることによって、良好な機械強度が得られた。(park)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/11/30-9224.html

 

●PragmatIC、フレキシブルインプリントロジックの商用生産までの見通しを発表 (PragmatICプレスリリースより)

2012年11月30日

イギリスPragmatIC Printingは、フレキシブル印刷ロジック回路の商用生産を開始したと発表した。同社は、印刷技術を用いたロジック回路をセキュリティラベルに応用する共同プロジェクトを推進しており、現在、このプロジェクトはパイロット製造段階に移行しつつあるとする。2013年初頭には製品が市場投入される見込みである。 (yos)

http://www.pragmaticprinting.com/userfiles/file/PPL_PR_pilot_121130.pdf

 

●KAISTのSang Soo Kimら、スプレー法により、加熱不要な銀ナノワイヤ/ポリマーのフレキシブル電極を作製 (Nanoscaleより)

2012年11月29日

韓国、KAISTのSang Soo Kimらは、加熱不要なスプレー法を用いて、銀ナノワイヤ/PEDOT:PSS複合材料のフレキシブル電極を作製した。室温下で作製した電極は、84.3%の光透過率と10.76 Ω/sqのシート抵抗を示した。更に、引張圧縮の疲労試験では、200サイクルでもシート抵抗の増加はわずか5.3%を示した。(uwa)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/nr/c2nr32221h

 

●Conducrive Low-Cost Ink ProjectのMasterclass/ワークショップが開催 (CLIPのプレスリリースより)

2012年11月27日

EU、7th Framework Programme(FP7)において企画されたConductive Low-Cost Ink Project (CLIP)のMasterclass/ワークショップが2012年11月27日に開催された。このワークショップでは、ヨーロッパの研究機関やEuropean Specialist Printing Manufacturers Association(ESME)の関連企業が、安価な銅で印刷配線の形成を目指し、最新の技術や開発品などの情報を共有している。(tpe)

http://www.clip-fp7.eu/news/135-workshopmasterclass-future-of-conductive-printing

 

●Chinese Academy of SciencesのWei Chenら、還元した酸化グラフェンと銀ナノ粒子のハイブリット材料を用いてアクチュエータ用電極を作製 (Advanced Materialsより)

2012年11月26日

中国、Chinese Academy of SciencesのWei Chenらは、還元した酸化グラフェン(RGO)と銀ナノ粒子のハイブリット電極を用いてアクチュエータを作製した。グラフェンによって銀ナノ粒子電極が安定化し、作製したアクチュエータは持続性、歪み速度、応答周波数が非常に優れていた。(yskim)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201203655/abstract

 

●ソニー、黒の再現性に優れた20.5型モノクロ有機ELモニターを開発 (ソニープレスリリースより)

2012年11月26日

ソニーは、モノクロ有機ELパネルの技術開発を進めており、2012年11月25~29日に米国シカゴで開催された放射線医療機器の学会「RSNA2012」において、20.5型のモノクロ有機ELモニターの試作機を出展した。「RSNA2012」に出展した2048×2560ピクセルのモノクロ有機ELパネルは、高い黒の再現性、最低輝度0.001 cd/m^2以下、キャリブレーション時の最高輝度500 cd/m^2を実現している。(saka)

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201211/12-1126/

 

●Yosei UniversityとSamsung、銀ナノ粒子とエラストマー繊維の複合体で、高伸縮性と高導電性を有するマットを作製 (Nature Nanotechnologyより)

2012年11月25日

韓国、Yonsei UniversityとSamsungは、エレクトロスピニングで作製した伸縮性繊維(材質:スチレン・ブタジエン系エラストマー)内に銀前駆体インクを吸収させ、マットを作製した後、その場でナノ粒子化させることで導電性を発現させた。この導電性マットは表面だけでなく内部に銀を含有するため、2倍伸張させても2,200 S/cmという高導電性を維持した。(tpe)

http://www.nature.com/nnano/journal/v7/n12/abs/nnano.2012.206.html

 

●Kansas State UniversityのVikas Berryら、グラフェンの化学修飾による電気的性質の変化に関する総説を発表 (Small より)

2012年11月21日

アメリカ、Kansas State UniversityのVikas Berryらは、グラフェンの化学修飾による電気的性質の変化に関する総説を発表した。Vikas Berryらは、炭素-炭素結合のSP2混成軌道からSP3軌道への転換をはじめとして、グラフェンの電気的性質が3つのメカニズムを経て決定されるモデルを提案した上で、今後さらなる研究が必要となるグラフェン材料についての見通しを示した。 (yos)

http://onlinelibrary.wiley.com/resolve/doi?DOI=10.1002%2Fsmll.201202196

 

●University of WarwickのSimon J. Leighら、3Dプリンターを用いて電子センサーを作製 (PLOS ONEより)

2012年11月21日

イギリス、University of WarwickのSimon J. Leighらは、3Dプリント技術を用いて、導電性を有する熱可塑性複合材料ベースの電子センサーを作製した。カーボンベースの安価な材料を用いて、複雑なセンサーや電子機器などの作製が簡便にでき、3Dプリンターを用いた新たな電子デバイス作製の可能性を示した。 (cow)

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0049365

 

●University of PennsylvaniaのCherie R. Kaganら、CdSeナノ結晶電界効果トランジスタから構成された電子デバイスを作製 (nature communicationsより)

2012年11月20日

アメリカ、University of PennsylvaniaのCherie R. Kaganらは、CdSeナノ結晶からなる、高性能、低電圧、低ヒステリシスな電界効果トランジスタから構成された集積回路インバータ、アンプ及びリング発振器を作製した。この電界効果トランジスタは、フレキシブルな基板へナノコロイドインクを塗布することで作製され、移動度22cm2V-1 s-1以上、オンオフ比 106以上と高性能を示した。(cow)

http://www.nature.com/ncomms/journal/v3/n11/full/ncomms2218.html

 

●Universidade de VigoのMiguel A. Correa-Duarteら、金ナノワイヤを緻密に配列させた極薄単層膜を用いて高透明性導電フィルムを作製 (NANO LETTERSより)

2012年11月20日

スペイン、Universidade de VigoのMiguel A. Correa-Duarteらは、金ナノワイヤを緻密に配列した極薄の単層膜を用いて、高透明性の導電フィルムを作製した。作製したフィルムは、ITOやグラフェンを用いた電極と同程度の電気的(シート抵抗400 Ω/sq)・光学的特性(光透過率96.5%)を示した。さらに、Auナノワイヤは、環境安定性が高く、アスペクト比が大きいため(直径1.6 nm, 長さ数十マイクロ)、フレキシブル基板への塗布利用にも適している。(uwa)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl3021522

 

●A * STAR、Institute of Materials Research and Engineering (IMRE)とCima NanoTech、より安価で効率的な電子機器や有機太陽電池作製に向けた透明導電膜開発の為に提携 (A * STARプレスリリースより)

2012年11月19日

シンガポール、A * STARとアメリカ、Cima NanoTechは、電子デバイスや有機太陽電池をより安価で効率的に作製するため、透明導電膜の共同開発を開始した。印刷技術に長けたCima NanoTechと透明導電材料を提供するA * STARが協力し、現状のITO透明導電膜を代替するデバイス開発する。(cow)

http://www.a-star.edu.sg/Portals/0/media/Press%20Release/IMRE-CIMA_collaboration.pdf

 

●Friedrich-Schiller-UniversityのUlrich S.Schubertら、大気圧アルゴンプラズマを用いる新規焼結技術を開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年9月25日

ドイツ、Friedrich-Schiller-UniversityのUlrich S.Schubertらは、大気圧アルゴンプラズマ処理による新規焼結方法を開発した。インクジェット印刷した銀ナノ粒子配線をわずか4秒間処理することで、バルク銀の10%の導電性が得られた。 (hsieh) http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM35586H

 

2012/12/03 No.56(2012年12月3日)

 

●産総研、量産容易な印刷技術によるプルシアンブルー色可変素子の製造に成功 (独立行政法人産業技術総合研究所プレスリリースより)

2012年11月20日

産総研のグリーンテクノロジー研究グループは、東和製作所および関東化学と共同で、印刷技術を用いてエレクトロクロミック色変化素子を製造する技術を開発した。本手法は、プルシアンブルー型錯体ナノ粒子インクをスプレー印刷するものである。素子の作製に必要となるゲル電解質や封止材は、スクリーン印刷法を用いて基板に塗布し、成膜・パターニングを行った。これらの手法により、素子の量産性向上と、パターニングの簡便化や素子形状の柔軟性などが実現できた。(saka)

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20121120/pr20121120.html

 

●NanoMarkets社、プリンテッドエレクトロニクスの製品売上は2017年までに62億米ドルに到達すると予測 (財経新聞、株式会社グローバル インフォメーションホームページより)

2012年11月16日

株式会社グローバル インフォメーションは、NanoMarkets社が発行した報告書「プリンテッドエレクトロニクス version3.0:市場予測」の販売を開始した。本報告書では、プリンテッドエレクトロニクス version3.0(PE V3.0)の市場を調査分析し、現在および将来のPEの各種用途と市場機会、PE V3.0の技術実現因子、PE V3.0向けの各種インクと主要材料、PE V3.0対応製品の8ヵ年予測(製品区分別)、PE V3.0向け材料の8ヵ年予測などをまとめ、PEを活用した製品の売上額は2017年までに62億米ドルに達すると予測している。(cow)

http://www.zaikei.co.jp/releases/74289/

http://www.gii.co.jp/report/nan254447-printed-electronics-version-30-market-forecast.html

 

●Eindhoven University of Technology のA. J. Standingら、ナノワイヤアレイを透明でフレキシブルなポリマー基板へ効果的に転写する方法を開発 (Nanotechnologyより)

2012年11月16日

 

オランダ、Eindhoven University of Technology のA. J. Standingらは、ナノワイヤアレイをPDMSフィルムに効果的に転写する方法について検討した。転写は、基板上にあらかじめ作製した長さ10 µmのガリウムリンナノワイヤのアレイにPDMS溶液をキャストして乾燥させた後、得られたコンポジットを基板から剥離することで行った。転写効率の向上には、PDMS溶液をナノワイヤアレイ間に良く浸透させることと、PDMSフィルムの強度を最適化することが重要であった。前者は、ヘキサンで希釈することでPDMS溶液の粘度を下げ、さらに真空乾燥させることで達成された。後者は、PDMS溶液中の硬化剤添加量を増加させることで達成した。その結果、ナノワイヤアレイの転写効率は95%に達した。(inu)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/49/495305

 

●韓国、Sungkyunkwan UniversityのJong-Hyun Ahnら、荷重制御ロール転写法を用いて、ストレッチャブルで透明なIGZO薄膜トランジスタを開発 (Advanced functional materialsより)

2012年11月14日

韓国、Sungkyunkwan UniversityのJong-Hyun Ahnらは、荷重制御ロール転写法を用い、In-Ga-Zn-O(IGZO)薄膜フィルムトランジスタ(TFTs)を剛直な基板からエラストマー基板に転写することに成功した。本手法は自動化やスケールアップも可能である。今回開発したストレッチャブルで透明なトランジスタは、繰返し伸び条件下でも高い電気特性を示し、ストレッチャブルエレクトロニクスとして高い可能性を示した。(park)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201202519/abstract

 

●Korea Advanced Institute of Science and TechnologyのSeokwoo Jeonら、非酸化グラフェンフレークを用いて熱伝導率を強化したエポキシ/グラフェン複合材料を開発 (Advanced Materialsより)

2012年11月14日

韓国、Korea Advanced Institute of Science and TechnologyのSeokwoo Jeonらは、1-ピレン酪酸を用いることで、グラフェンを酸化することなく、機能を保ったまま溶媒分散性を付与することに成功した。本手法を用いて、グラフェンフレークをポリマーマトリックス内に均一分散させて調製したエポキシ/グラフェンのナノ複合材料は、高い熱伝導率(~1.53 W/mK)と機械的特性(~1.03 GPa)を示した。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201202736/abstract

 

●Nedap RetailとKovio、衣服内に埋め込むタイプのRFIDタグブランド「!FaST」で提携 (Nedap Retailプレスリリースより)

2012年11月13日

オランダのNedap RetailとアメリカのKovioは、衣服内に埋め込むタイプのフィルム型RFIDタグブランド「!FaST」で提携を結んだと発表した。印刷技術に長けたKovio とマーケティングを担当するNedap Retail が協力し、小売業界内での運用を目指す。(cow)

http://www.nedap-retail.com/news/press-releases/187

 

●Konkuk UniversityのChangwoo Leeら、ロールツーロールグラビア印刷パターンの表面粗さと厚さが予測できる数学的モデルを発表 (Robotics and Computer-Integrated Manufacturingより)

2012年11月3日

韓国、Konkuk UniversityのChangwoo Leeらは、ロールツーロールグラビア印刷パターンの表面粗さと厚さが予測できる数学的モデルに関する論文を発表した。本モデルは、オペレーティング時の基板のテンション、印刷速度、インクの粘度、理論転送量の4つの独立した変数を採用しているため、より正確に印刷パターンの厚さや表面粗さが予測できる。(yskim)

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0736584512001226#

 

●DIC、FPD用の超高硬度フィルムを開発 (化学工業日報より)

2012年11月2日

DICは、スマートフォン等の携帯機器に使用されるカバーガラスを代替可能な超高硬度なハードフィルムを開発、サンプル供給を始めた。開発したハードフィルムはDIC独自の無機・有機紫外線硬化樹脂を用いており、その強度はこれまでの数倍も硬い鉛筆硬度「H8」である。フィルム厚は0.3 mm、全光線透過率は91%、鋼球を用いた耐衝撃性は100 cmであった。合成樹脂の設計力を活かしたもので、中小ディスプレイのカバーガラス代替を狙う。(uwa)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/11/02-8861.html

 

●Yonsei UniversityのCheolmin Parkら、単層カーボンナノチューブとブロック共重合体を用いて、印刷可能な高温動作不揮発性メモリを作製 (smallより)

2012年11月2日

韓国、Yonsei UniversityのCheolmin Parkらは、poly(styrene-block-paraphenylene)(PS-b-PPP)と単層カーボンナノチューブ(SWNTs)の複合フィルムを用いて、溶液プロセスで印刷可能な不揮発性高分子メモリを作製した。作製した不揮発性メモリは、SWNTsとPPPブロック共重合体間のπ-π相互作用により、100 ºCの高温においても大きな性能劣化もなく、安定したデータ保持性を示した。(saka)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smll.201202038/full

 

●South China Normal UniversityのYang Wangら、銀ナノ粒子を用いてナノワイヤ電極を開発 (Smallより)

2012年11月1日

South China Normal UniversityのYang Wangらは、銀ナノ粒子を転写して作製する銀ナノワイヤ透明電極を開発した。著者らは、ピラミッドをちりばめたシリコン基板表面のピラミッド間のくぼみに、銀ナノ粒子を自己組織化させた後、マイクロ波照射もしくは炉焼結することにより、銀ナノワイヤネットワーク構造をもつ電極を作製した。作製した電極に反射防止膜をコートすると、16%の反射率 (波長700nm)と15Ω/☐のシート抵抗を示した。(park)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smll.201201904/abstract

 

●住友化学、装飾照明とテレビ用のフレキシブル有機ELを試作 (化学工業日報、住友化学プレスリリースより)

2012年10月31日

住友化学は今春、高分子有機ELを用いた60色の照明用パネルを試作し、ドイツでデモ実験を行った。欧州で関心の高い装飾照明向け有機ELは、フレキシブルタイプを含めて2013年度にサンプル出荷を行う予定である。LED照明と比較したコストについては、10回以上もの多層化が必要な低分子材料に対して1回の塗布で済む高分子材料の優位性は高い。早期の量産プロセス開発を目指している。(uwa)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/10/31-8825.html

http://www.sumitomo-chem.co.jp/pled/about.html

 

●Durham UniversityのKarl S. Colemanら、グラフェンの合成およびアプリケーションに関して総説を発表 (Nanoscaleより)

2012年10月30日

イギリス、Durham UniversityのKarl S. Colemanらは、現在までに報告されているグラフェンの合成法およびアプリケーションに関して総説を発表した。アプリケーションとしては、電子デバイスやスーパーキャパシタやバッテリー、複合材料、フレキシブル透明導電膜、センサーなどグラフェンのアプリケーションに関して、その可能性について述べている。(tpe)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/nr/c2nr32629a

 

●Northeastern UniversityのYung Joon Jungら、柔軟かつ透明な薄膜スーパーキャパシタを開発 (Scientific Reports より)

2012年10月26日

アメリカ、Northeastern UniversityのYung Joon Jungらは、柔軟かつ透明な薄膜スーパーキャパシタを開発した。電極は、多孔質なテンプレートによってナノレベルに構造設計された炭素材料を用いている。表面が触手のような複雑な形状を有したカーボンフィルムは電極及び集電体として機能した。また、固体ポリマー電解質と良好に密着することで、 優れた柔軟性と光透過性に加えて、十分なエネルギー・パワー密度を示した。(cow)

http://www.nature.com/srep/2012/121026/srep00773/full/srep00773.html

 

●The Ohio State UniversityのL. James Leeら、ベンゼンスルホン酸基で化学修飾したグラフェンを用いて、高い引張り強度を持つグラフェンナノペーパーを作製 (ACS Nano より)

2012年10月25日

アメリカ、The Ohio State UniversityのL. James Leeらは、ベンゼンスルホン酸基を導入することでグラフェンを水に分散させることに成功し、その水分散液を用いて、高機能なグラフェンナノペーパーを作製した。官能基導入量13.7 wt%、アニール温度150 ºCの場合に、引張り強度360 MPa、ヤング率102 GPaである。また、アニール温度が250 ºCの場合は、4.45×10^4 S/m (22.5 μΩcm)の導電性が得られると報告している。(yos)

http://feedproxy.google.com/~r/acs/ancac3/~3/kgBCaxaYqNs/nn303917p

 

●China University of PetroleumのZifeng Yanら、連続フロー式のsolvothermalプロセスにより、銅ナノワイヤの大量合成および色素増感型太陽電池の作製に成功 (RSC Advancesより)

2012年10月1日

中国、China University of PetroleumのZifeng Yanらは、低温条件のsolvothermal法を用いて、連続フロー式での銅ナノワイヤ大量合成、および色素増感型太陽電池の作製に成功した。銅ナノワイヤを透明電極(アノード)として作製した太陽電池は、フッ素ドープ酸化スズ透明電極を用いた場合と同程度の発電効率5%を示した。(tpe)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/RA/C2RA21224B

 

2012/11/20 No.55(2012年11月20日)

 

●コーニング、超薄板ガラスを用いてタッチパネル等をロール・ツー・ロールで作製する技術を加速 (化学工業日報より)

2012年11月7日

アメリカ、コーニングと台湾工業技術研究院(ITRI)は共同で、超薄板ガラス:Willow Glassを基板に用いてタッチパネル、カラーフィルター、太陽電池、LED照明等をロール・ツー・ロール(RtoR)で実現する技術開発を進めている。タッチパネル用では、電極膜の作製など5工程を全てRtoRで行うことに成功した。来年にはデバイスとしての実用化を狙っている。 (uwa)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/11/07-8939.html

 

●東海大、チタニア層をインクジェット技術で製膜する方法を開発し、色素増感太陽電池の変換率アップ (日刊工業新聞より)

2012年11月5日

東海大学の梅津らは、色素増感太陽電池の主要な構成部材であるチタニア層をインクジェット技術で製膜する方法を開発した。押し付けて張るように成膜する従来のドクターブレード方式では、膜厚を調整できないという問題があったが、インクジェット方式を用いると、0.1 μmのオーダーで膜厚が調整できる。このことによって、太陽電池の転換効率向上が期待される。(cjkim)

http://www.nikkan.co.jp/dennavi/news/nkx0720121105qtkf.html

 

●住友化学、インクジェット技術でLEDバックライト向け導光板を作製 (日経Tech-Onより)

2012年11月5日

住友化学は、インクジェット技術で導光板を作製し、「FPD International 2012」に出展した。テレビやモニターなど、LEDバックライトを搭載する液晶パネルに向けたものである。開発品は、インクジェット技術により、同社のアクリル樹脂「Sumipex」の表面にUV硬化性樹脂の凹凸パターンを形成したものである。インクジェット技術で形成された凹凸パターンは30-70 μmで制御可能で、射出成形やスクリーン印刷で形成されたものと比べて径を小さくでき、導光板の薄膜化につながる。また、パターンを容易に変更することもできる。(yos)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20121105/249429/?ST=fpd

 

●VTTとPrintoCent、プリンテッドエレクトロニクス用のパイロット製造ラインにRoll-to-Rollでその場測定可能な電気特性評価装置を設置 (VTTプ

レスリリース、PrintoCentプレスリリースより)

2012年11月5日

フィンランド、VTTとプリンテッドエレクトロニクス団体のPrintoCentは、オウルにあるパイロット製造ラインにRoll-to-Roll方式の電気特性測定装置を設置すると発表した。この装置は、印刷製造したものの導電率をその場で測定することができ、有機発光ダイオードや有機太陽電池パネル等の電気的特性データを直ちに取得できる。(tpe)

http://www.vtt.fi/news/2012/021112_painettu_aly.jsp

http://www.printocent.net/news.htm

 

●紀州技研工業、長期安定性を有し常温保存が可能なインクジェット用銀ナノ粒子インク(KGK NANO AGK 101, 102)の販売を開始 (紀州技研工業

プレスリリースより)

2012年11月4日

紀州技研工業は、長期的に安定かつ常温保存可能で、高均一性(平均粒径20 nm)、低温焼結性(150°Cから導電性発現)を有するインクジェット用銀ナノ粒子インクの販売を開始した。要望に応じ、溶媒および濃度(~35 wt%)が変更可能である。(yos)

http://www.kishugiken.co.jp/nanoWEB/nano-news20121106.pdf

 

●産総研、液体を強くはじく表面に半導体を塗布する新しい製膜技術を開発し、有機ポリマートランジスタの高性能化を実現 (独立行政法人科学技

術振興機構プレスリリースより)

2012年10月31日

産総研フレキシブルエレクトロニクス研究センターのフレキシブル有機半導体チームは、有機ポリマー半導体溶液を3層構造のシリコーンゴムスタンプで圧着し、高撥水性の表面全体に均一に濡れ広がらせることによって製膜する新技術(プッシュコート法)を開発した。この塗布技術を用いると、材料のロスなく均質に薄膜化できるため、高性能な薄膜トランジスタを従来法よりも著しく簡便に製造できる。この成果の詳細は、英国の学術誌”Nature Communications”にオンライン掲載される。(cjkim)

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20121031/index.html

 

●Stanford UniversityのZhenan Baoら、全て炭素材料から成る太陽電池を開発 (ACS Nanoより)

2012年10月31日

アメリカ、Stanford UniversityのZhenan Baoらは、すべての要素(アノード、カソード及び活性層)が炭素材料から成る太陽電池を作製した。一般的なITO透明導電膜、金属電極を用いた、単層カーボンナノチューブとフラーレンC60の2層から成る活性層は、0.46%の電力変換効率を示した(太陽照明、AM (エア・マス)1.5 (約1 kW/m2)環境下)。また、全て炭素材料からなる太陽電池の試作と評価も行った。(cow)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn304410w

 

●セイコーエプソン、E-Ink社製電子ペーパーディスプレイの導入をより容易にする専用制御IC搭載モジュールのサンプル出荷開始 (セイコーエプソンプレスリリースより)

2012年10月30日

セイコーエプソンは、E-Ink製電子ペーパーディスプレイ(EPD)を駆動するための主要部品を1つのモジュールに実装した「S4E5B001B000A00」を開発し、サンプル出荷を開始した。この小型モジュールを用いることで、従来の電子書籍端末だけでなく、棚札、POP、看板など様々な製品へのEPDの採用が容易になる。(saka)

http://www.epson.jp/osirase/2012/121030.htm

 

●Nanyang Technological UniversityのHua Zhangら、還元型グラフェン酸化物のみで形成されるフレキシブルな不揮発性メモリデバイスを開発

(Advanced Materialsより)

2012年10月26日

シンガポール、Nanyang Technological UniversityのHua Zhangらは、全て還元グラフェン酸化物から成るフレキシブルな不揮発性メモリデバイスを開発した。還元度の低いグラフェン酸化物は活性層として用い、還元度の高いグラフェン酸化物は電極材として用いた。本手法は、溶液プロセスによるオールカーボンデバイスの作製に向けた簡便な技術として期待される。 (cow) http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201203349/abstract

 

●メルク、有機ELインク製造に必要なエプソンのインク化技術を活用 (セイコーエプソン、メルクプレスリリースより)

2012年10月24日

ドイツ、Merck KGaAとセイコーエプソンは、有機EL(OLED)ディスプレイ用インクに関して協力関係を結んだ。Merck KGaAは、インクジェット方式に適した長寿命で高品質な有機EL材料を、セイコーエプソンは有機EL材料のインク化、インクジェット吐出技術を有している。これらの技術を組み合わせ、有機ELインクの実現を目指す。

(saka)

http://www.epson.jp/osirase/2012/121024.htm

http://www.merckgroup.com/en/media/extNewsDetail.html?newsId=1FB5091871AEFD6EC1257AA0004F1129&newsType=1

 

●ダイセル、従来の液状封止材の10倍の水蒸気バリア性を有する、有機EL向け封止フィルムを開発 (化学工業日報より)

2012年10月22日

ダイセルは、有機EL向けの液状封止材に代わる封止フィルムを開発し、市場開拓に乗り出した。特殊オレフィンを用いることで、透明性に加えて従

来の液状封止材の10倍の水蒸気バリア性を得ることに成功した。

柔軟性も併せ持つことから、基板にロール・ツー・ロール法で接着したり、照明を曲げて展示するような用途への展開が期待される。(Jo)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/10/22-8692.html

 

●The University of TexasのRodney S. Ruoffら、金属ナノワイヤと複合化することでグラフェンフィルムの導電性を向上させることに成功 (Nano

Lettersより)

2012年10月20日

アメリカ、The University of TexasのRodney S. Ruoffらは、CVD法で作製したグラフェンフィルムを、金属ナノワイヤを塗布した基板上に転写することで、導電性を向上させることに成功した。従来の転写グラフェンフィルムでは欠陥が発生し、導電性が低下することが問題であった。しかし、金属ナノワイヤとグラフェンフィルムのハイブリッドフィルムのシート抵抗は、64 ± 6.1 Ω/□ であり、完全なグラフェンフィルムのシート抵抗30 Ω/□に迫る値となった。(yos)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl302870x

 

●Royal Institute of TechnologyのLars A. Berglundら、ストレッチャブルで高強度なポリマー被覆型セルロースナノペーパーを開発(Biomacromoleculesより)

2012年10月9日

スウェーデン、Royal Institute of TechnologyのLars A. Berglundらは、セルロースナノファイバーをヒドロキシエチルセルロースでコーティングした後、その水分散液を吸引濾過して超臨界CO2乾燥することで紙に成型し、ストレッチャブルで高強度なポリマー被覆型セルロースナノペーパーを開発した。このナノペーパーは、有機溶媒を使わない環境低負荷なプロセスで作製可能である。また、比表面積の大きな多孔質ナノ構造を有するため、低強度が問題であった従来の不織メンブレンの代替として期待される。(hsieh)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/bm301105s

 

●University of CaliforniaのYang Yangら、低温溶液プロセスにより、銀ナノワイヤをITOナノ粒子マトリックス中に組み込んだフレキシブル透明導体を作製 (Nano Researchより)

2012年10月6日

アメリカ、University of CaliforniaのYang Yangらは、低温溶液プロセスにより、ITOナノ粒子マトリックスに銀ナノワイヤネットワークを組み込んだフレキシブルな透明導体を作製した。銀ナノワイヤネットワークをITOナノ粒子で覆うことにより、高い透明性および低シート抵抗を維持しつつ、ワイヤ間接続抵抗の低下、表面の平滑化、接着性の向上、フレキシブル性を付与することに成功した。本手法は、他の金属ナノワイヤとナノ粒子の組み合わせにも応用できる。(inu)

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12274-012-0264-8

 

2012/05/01 No.45-54(2012年5-10月)

 

●Zhejiang UniversityのJianguo Huangら、表面改質技術により超撥水性のセルロース複合材料を開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年5月1日

中国、Zhejiang UniversityのJianguo Huangらは、セルロースろ紙の上にチタン薄膜と単層PFOTMS (1H,1H,2H,2H-perfluorooctyltrimethoxysilane)をコーティングし、表面に超撥水性と撥油性を持たせた。この表面は大腸菌等のバクテリアの接着を抑制効果もあり、防汚、防臭、自浄などへの応用を期待できる。(hsieh)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM31750H

 

●Stanford UniversityのYi Cuiら、表面安定化コートしたエレクトロスパン銅ナノファイバーを用いて透明導電膜を作製 (ACS Nanoより)

2012年5月1日

アメリカ、Stanford UniversityのYi Cuiらは、表面安定化コートしたエレクトロスパン銅ナノファイバーを用いて透明導電膜を作製した。従来のエレクトロスパン銅ナノファイバーには、銅ナノファイバーが加熱処理により酸化する問題があった。著者らは、銅ナノファイバーの表面に溶液法でアルミニウムドープ亜鉛層と酸化アルミニウム層を形成させることで、銅ファイバー透明導電膜の耐酸化性や耐湿性を向上させた。(tok)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn300844g

 

●FOM Institute AMOLFのJorik van de Groepら、電子ビームリソグラフィによって格子状のAgナノワイヤネットワーク透明導電膜を作製 (Nano lettersより)

2012年5月3日

オランダ、FOM Institute AMOLFのJorik van de Groepらは、電子ビームリソグラフィによって、格子状の二次元Agナノワイヤネットワークを有する透明導電膜を作製した。光透過率は91%、シート抵抗は6.5 Ω/□で、非常に優れた性能を示した。実験とシミュレーションの結果、この膜の光透過現象には、Agナノワイヤによる局部的表面プラズモンと表面プラズモンポラリトン効果が関係していることを明らかにした。 (uwa)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl301045a

 

●IBM Thomas J. Watson Research CenterのYanqing Wuら、大面積グラフェンを用いて高性能トランジスタを作製 (Nano Lettersより)

2012年5月7日

アメリカIBM Thomas J. Watson Research CenterのYanqing Wuらは、無線周波数アプリケーションにむけ、高性能グラフェントランジスタを開発した。大面積シリコンカーバイド上へ化学蒸着法またはエピタキシャル法によってグラフェンを形成させて作製したトランジスタは、300 GHz 以上のカットオフ周波数をもつ。これらのトランジスタは、機械的剥離で作製されたグラフェントランジスタよりも高い性能であり、最適化された場合、電力と電圧のゲインは20 dBを示す。(cow, yskim)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl300904k

 

●ロシアのWexler、“折れ曲がる”電子書籍端末「Wexler Flex ONE」を発売 (Wexlerのプレオーダーに関する記事より)

2012年5月8日

ロシアのタブレット販売会社Wexlerは、世界初となる“折れ曲がる”電子書籍端末「Wexler Flex ONE」を発売した。解像度1024×768の6型E Inkディスプレイを搭載し、USB2.0経由でPDF/EPUBなど主要な電子書籍ファイルを転送できる。ボディがゴム状になっているため、ある一定の角度まで本体を折ることができ、耐ショック性も大幅アップしている。(saka)

http://wexler-global.com/news/201204/143

http://www.youtube.com/watch?v=Nq12ot9ttYY (You tubeでの製品紹介)

 

●東京大学の磯貝明ら、高強度かつ優れた酸素ガスバリア性を有するナノセルロース/クレイコンポジットを開発 (Biomacromoleculesより)

2012年5月8日

東京大学の磯貝明らは、2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl radicalによる水系酸化反応を利用して得られるセルロースナノファイバーをモンモロリナイトのナノプレートレットとともに水分散させた後、キャスト法によってフィルムに成型した。このナノセルロース/モンモロリナイトのコンポジットフィルムは、フレキシブルかつ透明であり、ナノ階層構造に起因する優れた機械的特性(ヤング率18 GPa, 引っ張り強度509 MPa)と酸素ガスバリア性を示す。

(inu)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/bm300465d

 

● National Taiwan Universityの Wen-Yen Chiuら、疎水性や耐環境性に優れたフレキシブル導電膜を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年5月9日

台湾、National Taiwan Universityの Wen-Yen Chiuらは、フレキシブルなPEDOT:PSS-PBA導電膜の疎水性(接触角>90°)や環境安定性を向上させた。このフレキシブルPEDOT:PSS-PBA導電膜は、MSMA(3-トリメトキシシリルプロピルメタクリル樹脂)とPFOTES(トリエトキシ-1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチルシラン)で表面改質したシリカをPEDOT:PSS-PBA導電材料にブレンドまたはコーティングすることによって作製された。また、このPEDOT:PSS-PBA/silica導電膜は、優れたOptoelctronic特性も示した。(park)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM31352A

 

●香港市大学のV. A. L.Royら、高誘電率のポリマーナノコンポジットを作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年5月9日

香港、香港市大学の V. A. L.Royらは、高誘電率でリーク電流の低いポリマーナノコンポジット誘電体を開発した。このナノコンポジットは、オクタデシルホスホン酸でコーティングしたチタン塩ナノ粒子をドーパントとしてポリビニルフェノール中に分散させたフィルムである。このフィルムで作製したトランジスタは、フレキシブル性および機械的特性、耐環境性に優れていた。(JLJO)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM31813J

 

●University of California BerkeleyのSubramanianら、フェムトリットルのグラビア印刷で高性能の印刷トランジスタを作製 (Advanced Materialsより)

2012年5月9日

アメリカ、University of California BerkeleyのSubramanianらは、フェムトリットルの金ナノ粒子インクをグラビア印刷することで、幅数10 μmの配線の作製に成功した。この配線を電極とした印刷有機トランジスタは、20 Vの電圧下で300 kHzの転移周波数を示した。(cjkim)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201200924/abstract

 

●アサヒ化学研究所、ITO膜に加熱のみでエッチング可能な新規ペーストを開発 (化学工業日報より)

2012年5月10日

アサヒ化学研究所は、加熱処理のみでITO膜のエッチングを可能とする新規ペーストを開発した。ITOフィルム上にスクリーン印刷でパターン形成し、100~130℃程度で加熱乾燥するだけでITOをエッチングする事が可能になった。更に、このペーストは流水洗浄で容易に除去できる。(uwa)

アサヒ化学研究所:http://www.asahi-kagaku.co.jp/

 

●Holst Centre/TNO、有機エレクトロニクスのR2R作製技術を改善する“Clean4Yield”プロジェクトを始動 (Holst Centre/TNOプレスリリースより)

2012年5月14日

オランダ、Holst Centre/TNOは、ヨーロッパおよびイスラエルの会社や研究機関と共に(参加機関一覧は下記参照)、有機エレクトロニクスのR2R作製技術を改善することを目的としたClean4Yieldプロジェクトを5月より開始した。このプロジェクトは、EUのFP7(第7次研究枠組み計画)において行われ、クリーニング、およびフィルムの移動、欠陥の検知や予防などに関する技術を開発する。参加機関は、以下の16つである。TNO / Holst Centre (Netherlands)、Coatema Coating Machinery GmbH (Germany)、Dr. Schenk GmbH Industriemesstechnik (Germany)、Technical University of Denmark (Denmark)、DuPont Teijin Films (United Kingdom)、Horiba Jobin Yvon SAS (France)、IBS Precision Engineering (Netherlands)、Teknek Limited (United Kingdom)、InnoPhysics BV (Netherlands)、Philips Technologie GmbH (Germany)、Bayer MaterialScience (Germany)、Eight19 Limited (United Kingdom)、Bayer Technology Services (Germany)、Thermosensorik GmbH (Germany)、Delft University of Technology (Netherlands)、Orbotech Inc.(Israel)  (tpe)

http://www.holstcentre.com/NewsPress/NewsList/Clean4yield.aspx

 

●東京大学の須賀らとランテクニカルサービス、接着剤なしでフィルム・ガラスを接合する常温接合技術を開発 (東京大学工学部HPより)

2012年5月14日

東京大学の須賀らとランテクニカルサービスは、接着剤の代わりにシリコンや金属といった無機物を使って、高分子フィルムやガラスを常温で貼り合わせる技術を開発した。真空状態でイオンビームを使ってフィルム表面に厚さ10 nmのシリコンを付け、その上に同1 nmのFe層を重ねる。このFe面は、互いに合わせると良く接着する。フレキシブル有機エレクトロルミネッセンスディスプレイやフレキシブル太陽電池の封止材などへの利用が期待される。(saka)

http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/release/2012/2012051401.html

 

●物質材料研究機構の中西ら、白色発光する不揮発性液体を開発 (物質・材料研究機構プレスリリースより)

2012年5月14日

物質材料研究機構の中西らは、青色発光する不揮発性の液体内に少量の固体色素を混ぜ込むだけという、非常に簡単な操作のみで良質に白色発光する材料の開発に成功した。この白色発光液体は、様々な形状の基材に塗布可能であり、次世代のプリンタブルエレクトロニクスに向けた新たな発光材料となることが期待される。この研究成果はAngewandte Chemie International Edition(2012, 51, 3391-3395)誌に掲載され、Nature(2012, 484, 9)誌にハイライトされた。(tok)

http://www.nims.go.jp/news/press/2012/05/p201205140.html

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201108853/abstract

 

●ブリヂストン、電子ペーパー事業から撤退 (ブリヂストンプレスリリースより)

2012年5月15日

ブリヂストンは、ディスプレイ業界における液晶パネル価格の急速な低下及び競争激化が、当事業に大きな影響を与える状況となったことを鑑み、電子ペーパー事業から撤退する。製造については、2012年10月末をもって停止する予定。(cow)

http://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2012051501.html

 

●有機ELテレビ量産技術開発で、ソニー、パナソニック提携交渉 (日本経済新聞、東洋経済より)

2012年5月15日

ソニーとパナソニックは、次世代テレビの本命とされる有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ事業で提携交渉に入った。液晶より高精細で消費電力の少ない有機ELパネルの技術を持ち寄り、大型パネルの早期量産に向け協力する。(cow)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD140FE_U2A510C1MM8000/?dg=1

http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/bf03e95dbf13f404369aa1aa8b0297b1/

 

●ネットブレイン、フレキシブルディスプレイに関するレポートを発刊 (ネットブレインプレスリリースより)

2012年5月15日

ネットブレインは、フレキシブルディスプレイに関するレポートを発刊した。フレキシブルディスプレイの開発参入メーカーにおける開発現状、開発製品動向、採用フィルム/技術等を調査、分析している。さらに、フレキシブルディスプレイの現状における開発進展状況、製品トレンド、技術動向、採用材料動向を調査し、フレキシブルディスプレイの現状と将来について述べている。(saka)

http://www.netbrain-net.com/report/2012FlexDisplay.html

 

●エア・ブラウン、ビスマレイミド樹脂を輸入販売 (化学工業日報より)

2012年5月16日

エア・ブラウンは、ポリイミド代替材料として注目されるビスマレイミド樹脂の本格販売に入った。ビスマレイミド樹脂は、硬化速度が速く、可撓性に優れ、ポリイミドと同等の耐熱性(400℃以上の熱分解温度)を持ち、各種金属への高接着性を有する。多層積層板の基材、エポキシ樹脂の耐熱付与剤などとして利用が期待される。(saka)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/05/16-6605.html

 

●University of South CarolinaのXiaodong Liら、綿Tシャツを蓄電材料に (Advanced Materialsより)

2012年5月16日

アメリカ、University of South Carolina のXiaodong Liらは、絶縁性の綿Tシャツに簡単な化学処理を施し、高導電性、フレキシブルな活性炭生地にした。この生地は理想的な電気二重層キャパシタとして機能する。また、MnO2/ACTと複合化することで、エコで安価かつ高い蓄電性能を持つスーパーキャパシタの製作に成功した。(hsieh)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201200246/abstract

 

●Northeast Forestry University のJian Liら、木材からメソポーラスエアロゲルを作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年5月16日

中国、Northeast Forestry University のJian Liらは、イオン液体の一種である1-allyl-3-methylimidazolium chlorideに木材を浸漬した後、凍結融解処理を繰り返し行い、さらにアセトンで溶媒置換後、超臨界乾燥させることで、メソポーラスなリグノセルロースエアロゲルを作製した。このエアロゲルは、断熱材や吸音材への利用が期待される。(inu)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM31310C

 

●Chinese Academy of SciencesのZhong Lin Wangら、GaNナノワイヤを用いたナノジェネレーターとLEDを開発 (ACS Nanoより)

2012年5月18日

中国のChinese Academy of SciencesのZhong Lin Wangらは、Mgをドープしたp-typeのGaN基板上に単結晶のn-type GaNナノワイヤを成長させた。このGaNナノワイヤを用いて圧電ナノジェネレーターとLEDモジュールを作製した。ナノジェネレーターの出力パワーは、12.5 mW/m^2であった。また、LEDモジュールは、ZnOナノワイヤナノジェネレーターからの電力供給で点灯可能であった。(park)

http://feedproxy.google.com/~r/acs/ancac3/~3/4awbSmoVvGE/nn301814w

 

●CEAのJean-P. Simonatoら、フレキシブルな銀ナノワイヤ透明ヒーターを作製 (Nano Researchより)

2012年5月19日

フランス、原子力庁(CEA)のJean-P. Simonatoらは、銀ナノワイヤを使ってフレキシブルで透明なヒーターを作製した。ガラス基板、または、PETフィルム上に作製されたヒーターは、12V以下の電圧で良好な特性を示した。さらに、このヒーターを用いたフォトクロミックディスプレイを作製した。(tok)

http://www.springerlink.com/content/3007h5546475756t/

 

●IREC、薄膜太陽電池作製の低コスト化を目指し10.2百万ユーロのSCALENANOプロジェクト (IRECプレスリリースより)

2012年5月20日

スペイン、IREC (Institute for Energy Research)は、EUのFP7-ENERGY (第7次研究枠組み計画)において、SCALENANOプロジェクトで10.2百万ユーロの投資を受けた。このプロジェクトは、薄膜太陽電池作製の低コスト化および環境負荷の低減などを目指し、今年2月から開始、2015年7月まで実施予定である。(tpe)

http://www.irec.cat/index.php/en/news/10-noticies-irec/228-irec-coordinara-el-projecte-scalenano-del-7e-programa-marc-de-la-comissio-europea

 

●KAISTのSeung Hwan Koら、非常に長い銀ナノワイヤを用いてストレッチャブル電極を作製 (Advanced Materialsより)

2012年5月21日

韓国、KAISTのSeung Hwan Koらは、長さ100μm以上の銀ナノワイヤでストレッチャブルな電極を作製した。溶液プロセスで長さ100μm以上の銀ナノワイヤが合成できる方法を開発し、低温で導電性ネットワークを形成することに成功した。この電極は、460%に伸ばしてもシート抵抗9Ω/squareの低抵抗を示した。(tok)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201200359/abstract

 

●Hanyang UniversityのYong-Ho Choaら、シランカップリング剤を用いた銅インクで密着性を向上 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年5月25日

韓国、Hanyang UniversityのYong-Ho Choaらは、シランカップリング剤を含む導電性銅インクを用いて、インクジェット印刷配線の密着性を向上させた。インクジェット印刷配線の導電性と密着性を評価した結果、3 wt%のシランカップリング剤を含んだインクジェット印刷配線は、高い剥離強度(240.3 gfmm^-1)と、低い抵抗率(約20 μΩcm)を達成した。(cow)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM31381B

 

●Sungkyunkwan UniversityのSeunghyun Baikら、フレキシブルな高導電性接着剤を開発 (Advanced Materialsより)

2012年5月25日

韓国、Sungkyunkwan UniversityのSeunghyun Baikらは、銀マイクロフレーク、銀ナノ粒子で修飾した多層カーボンナノチューブ、ニトリルブタジエンゴムを使用して、高導電性でフレキシブルな導電性接着剤を開発した。この導電性接着剤でPET基板上に接着した発光ダイオードチップは、曲げ試験中でも輝度を維持していた。(cow)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201273/abstract

 

●Duke UniversityのBenjamin J. Wileyら、銅ナノワイヤをニッケルで均一にコーティングし、耐酸化性に優れた透明導電膜を作製 (Nano Lettersより)

2012年5月29日

アメリカ、Duke UniversityのBenjamin J. Wileyらは、銅の酸化を抑制するため、ニッケルで銅ナノワイヤをコーティングし、透明導電膜を作製した。このニッケルコーティング銅ナノワイヤは、銅および銀ナノワイヤに比べて耐酸化性が極めて高く、かつ安価な透明導電膜を作製するのに有用である。(inu)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl301168r

 

●東京大学の磯貝ら、透明性や耐熱性に優れたセルロースナノファイバー補強ポリスチレンを開発 (Biomacromoleculesより)

2012年5月29日

東京大学の磯貝らは、2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl(TEMPO)酸化反応を利用して得たセルロースナノファイバー(TOCNs)を有機溶媒中に高分散させることに成功し、ポリスチレン(PS)と配合することで、透明性や耐熱性、物理強度に優れたPS/TOCNs複合材料を開発した。TOCNsの配合量が高いほど、これらの特性もよくなる。これは、幅3-4 nmのTOCNsの高アスペクト比と高結晶性、ナノレベルの高分散性による。(hsieh)

http://feedproxy.google.com/~r/acs/bomaf6/~3/qIlEI9WzsYw/bm300609c

 

●旭硝子、既存の設備にて超薄板ガラスの取り扱いを可能にする積層技術の開発に成功 (旭硝子プレスリリースより)

2012年5月30日

旭硝子は、既存の設備にて超薄板ガラスの取り扱いを可能にするため、厚さ0.1 mmの超薄板ガラスをキャリアガラスに張り合わせる積層技術を開発した。この積層技術により既存の設備を変更することなく超薄板ガラスを取り扱うことが可能となる。次世代ディスプレイなどのアプリケーションへの利用が期待される。(tpe)

http://www.agc.com/news/2012/0530.pdf

 

●ASUの The Flexible Display Centre、7.4インチの曲がるOLEDディスプレイを作製 (The Flexible Display Centreプレスリリースより)

2012年5月30日

アメリカ、Arizona State University(ASU)のThe Flexible Display Centreは、酸化物薄膜トランジスタを用いて、曲がるOLEDディスプレイを作製した。このディスプレイは、Army Research Labsと共に作製され、7.4インチサイズである。また、フルカラー・フル動画にも対応し、国防総省が設定した開発目標をクリアしている。(tpe)

http://www.marketwire.com/press-release/flexible-display-center-produces-largest-flexible-color-oled-display-manufactured-with-1662878.htm

 

●三菱化学、変換効率11.0%の有機薄膜太陽電池を開発 (Tech Onより)

2012年5月30日

三菱化学は、変換効率11.0%の有機薄膜太陽電池を開発したと第61回高分子学会年次大会にて発表した。この変換効率は、Heliatekが2012年4月に発表した10.7%を上回り、有機薄膜太陽電池としては現時点で世界最高の変換効率である。(cjkim)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120530/220883/

 

●大阪大学の徳野ら、銀ナノワイヤとカーボンナノチューブのハイブリッド透明導電膜をプラスチックフィルム上に作製 (Nanoscale Research Lettersより)

2012年5月31日

大阪大学の徳野らは、銀ナノワイヤと単層カーボンナノチューブのハイブリッド透明導電膜を低温プロセスでプラスチックフィルム上に作製した。銀ナノワイヤに対し、単層カーボンナノチューブを6 wt.%混合した透明導電膜は、光透過率80%、シート抵抗29.2 Ω/□を示した。(tok)

http://www.nanoscalereslett.com/content/7/1/281/abstract

 

●Novaled、大気中で安定なn型ドープ電子輸送材料を用いてOLED寿命を倍増させることに成功 (Novaledプレスリリースより)

2012年5月31日

ドイツ、Novaledは、OLED TVやOLEDモバイルディスプレイ向けの、n型ドープ電子輸送層(ETL)材料を開発した。新たに開発したドーパントは大気中で安定なため、従来のOLEDと比較して、ディスプレイ寿命を2倍にまで改善した。

(cow) http://www.novaled.com/press_news/news_press_releases/newsitem/novaled_develops_new_air_stable_n_dopant_and_etl_materials_to_improve_efficiency_and_lifetimes_for_o/

 

●三菱ケミカルとパイオニア、”張る照明”を量産 (日本経済新聞より)

2012年6月1日

三菱ケミカルはパイオニアと共同で2013年末をめどに、天井や壁に張り付けて使える有機EL照明の量産を始める。製法を刷新し、生産コストを従来の10分の1に引き下げる。カネカなども量産に向けて開発を急いでおり、発光ダイオードに続く新たな照明市場の普及を後押しすると期待される。(cow)

 

●有機薄膜太陽電池のKonarka Technologies、連邦破産法を申請 (Konarka Technologiesプレスリリースより)

2012年6月1日

有機薄膜太陽電池を開発するアメリカ、Konarka Technologiesは、会社清算を意味する連邦破産法7条(Chapter 7)を申請した。同社はノーベル化学賞を受賞したAlan Heeger氏がChief Scientistとして名を連ねており、有機薄膜太陽電池の開発と実用化で先行してきた。日本では、2010年3月にコニカミノルタがKonarka Technologiesに2000万米ドルを出資し、資本・業務提携契約を締結していた。(cow)

http://www.konarka.com/index.php/site/pressreleasedetail/konarka_technologies_files_for_chapter_7_bankruptcy_protection

 

●University of Science and Technology of ChinaのShu-Hong Yuら、バクテリアセルロースを用いて、ストレッチャブルな高導電体を開発 (NPS Asia Materialsより)

2012年6月1日

中国、University of Science and Technology of ChinaのShu-Hong Yuらは、バクテリアセルロースを出発材料として、ストレッチャブルな導電体を開発した。バクテリアセルロースのエアロゲルをアルゴン雰囲気1000℃以上でグラファイト化した後、ポリジメチルシロキサンを浸透させて調製した複合材料は、一般的なカーボンナノチューブやグラフェンベースの複合材料よりも高い電気伝導率(0.20-0.41 Scm^-1)を示した。80%の歪みを1000回繰返し与える引張り試験後、電気抵抗の上昇はわずか10%程度、5000回の折り曲げ試験後も上昇はわずか4%であり、形状を変化させても安定な電気特性を示した。(hsieh)

http://www.nature.com/am/journal/v4/n6/full/am201234a.html

 

●Corning、超薄型のフレキシブルガラスを開発・販売 (Corningプレスリリースより)

2012年6月4日

アメリカ、Corningは、ロール・ツー・ロールに向けた超薄型のフレキシブルガラス”Corning Lotus Glass”を開発し、販売を開始した。このガラスは、Corningが技術所有するfusion processによりコピー紙と同程度の厚さ(100 μm)に成形され、500℃まで使用できる。(tpe)

http://www.corning.com/news_center/news_releases/2012/2012060401.aspx

 

●三菱化学とパイオニア、塗布成膜プロセスによる有機EL照明で実用レベルの長寿命化と高効率化を達成 (三菱化学プレスリリースより)

2012年6月4日

三菱化学とパイオニアは、発光層を塗布プロセスで成膜した有機EL素子の開発に成功した。開発した有機EL素子は、白色輝度1000 cd/m^2における輝度70%寿命として、5.7万時間という長寿命化を達成した。発光効率についても、フルカラー調色型の2000 cd/m^2で56 lm/Wという高効率化を実現した。(saka)

http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/2012/20120604-1.html

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120606/221803/?ST=fpd&ref=rss

 

●大日本印刷、世界初のフレキシブルガラスを用いたカラーフィルター製造プロセスを開発 (大日本印刷プレスリリースより)

2012年6月5日

大日本印刷は、厚み0.05から0.07 mmのフレキシブルなガラスを用いてロール・ツー・ロールプロセスによるカラーフィルター製造技術を開発した。ロール状のフレキシブルガラスに、カラーフィルターのパターンをフォトリソグラフィー方式で形成した。作製したカラーフィルターは、直径3 cm以下に曲げられる柔軟性を備えている。 (cjkim)

http://www.dnp.co.jp/news/10032015_2482.html

 

●ThinfilmとPARC、PE集積システムの商業化へ向け共同開発を延長 (Thifilm、PARCプレスリリースより)

2012年6月5日

ノルウェー、Thin Film Electronics ASA(Thinfilm)とアメリカ、Palo Alto Research Centre(PARC)は、PE集積システムの商業化へ向け共同開発を延長した。両企業は、現在、印刷法による温度センサーの試作品を共同開発しており、今後はバッテリやセンサーを集積した”Thinfilm’s Addressable Memory(TM)”の開発も行う。(tpe)

http://www.thinfilm.no/news/press-releases/331-331-thinfilm-extends-relationship-with-parc

http://www.parc.com/news-release/63/thinfilm-extends-relationship-with-parc-to-accelerate-delivery-of-integrated-printed-electronic-systems.html

 

●IPS、スマートフォンデザインを革新する新しい固体薄膜電池技術を開発 (Infinite Power Solutionsプレスリリースより)

2012年6月5日

アメリカ、Infinite Power Solutions(IPS)は、リチウムイオン電池に代わる新たな電池技術のデモに成功した。この超薄型の再充電可能電池は、1.25 mAh/cm^2の容量密度を達成した。IPS はさらに、角型リチウムイオン電池と同等の容量密度(2.5m Ah/cm^2)や生産コストを実現するための、R2R製法と両面への蒸着を用いた電池製造技術の利点を示すホワイトペーパーも発表した。(saka)

http://www.infinitepowersolutions.com/press-room/182-ips-breakthrough-battery-technology.html

 

●富士ゼロックス、新型カラー電子ペーパーを発表 (Tech Onより)

2012年6月6日

富士ゼロックスは、カラーフィルターを用いずにカラー表示を実現した電気泳動方式の電子ペーパーをThe Society for Information Display 2012(SID 2012)にて発表した。新型カラー電子ペーパーは、数種の着色粒子を色別に動かすことで、カラー表示を実現した。画面サイズは5型、画素数は600×800、精細度は200 dpi、階調数は4、反射率は30%、コントラスト比は10対1である。(saka)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120606/221803/?ST=fpd&ref=rss

 

●産業技術総合研究所、ポリアミノ酸からフレキシブル圧力センサーアレイを開発 (産総研プレスリリースより)

2012年6月8日

産業技術総合研究所の植村らは、味の素と共同で圧電性を示すポリアミノ酸材料を開発、さらにそれをインク化し、リーク電流を抑える素子構造を適用することで、フレキシブル基板上に印刷法でセンサーアレイを作製することに成功した。この作製技術を大面積プロセスに適用することにより、安価なセンサーの大量供給が期待される。(uwa)

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20120608/pr20120608.html

 

●ダブルショット・インクジェット印刷による有機半導体の製造 (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

産総研の山田寿一らは、印刷法によって結晶性有機半導体薄膜を製造する技術として、半導体インクと結晶化インクの2種類のインクを用いるダブルショット・インクジェット印刷法を開発した。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●フレキシブル有機TFT作製プロセス (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

凸版印刷の伊藤学らは、フレキシブル有機TFTを作製するための各種印刷プロセスについて解説し、それらを用いたTFTのトランジスタ特性、画内分布、電子ペーパーの駆動結果について報告した。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●自己組織化を利用した高分子薄膜太陽電池 (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

東京大学の但馬敬介は、ドナー/アクセプターを連結した分子デザインによって、ホールと電子を輸送するドメイン構造をナノスケールで自発的に制御し、有機薄膜太陽電池に応用した。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●低分子系有機薄膜太陽電池 -ドーピングによる界面接合技術- (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

自然科学研究機構(NINS)の久保雅之らは、フラーレンC60について、ドーピングによるpn制御とpnホモ接合の形成技術を確立した。この技術を用いることで、有機半導体薄膜内部に基本的接合を自由自在に作製可能となるため、有機薄膜太陽電池の効率の飛躍的向上の基礎技術になると期待される(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●有機EL材料の分子配向とデバイスの電気特性・光学特性 (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

山形大学の横山大輔は、有機ELの未だ解明されていない基礎的事項である”分子配向”に注目し、それが有機ELの諸特性に与える影響について解析した。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●フレキシブルディスプレイと有機電子デバイス (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

千葉大学の工藤一浩は、有機デバイスの実用化に向けた問題点を踏まえ、有機トランジスタを中心とした光電子デバイスの開発状況とその応用分野について述べた。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●導電性高分子ディスパージョンの有機エレクトロニクスへの応用 (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

山梨大学の奥崎秀典は、市販のレーザープリンターを用いたPEDOT/PSSディスパージョンのパターニングとデバイス作製および伸縮性導電材料の開発を行った。有機エレクトロニクスやソフトアクチュエータへの応用が期待される。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●低温焼成型銀塩を用いた配線形状材料 (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

トッパン・フォームズの丸山徹は、焼成温度を切り口として、オールプリンテッド・エレクトロニクスに向けた銀塩インキの開発を行った。この銀塩インキの特徴は、低温焼成・低抵抗・環境耐性・平滑性・印刷対応である。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●プリンテッド・エレクトロニクスに向けた大気安定n型の有機トランジスタ材料の開発 (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

大阪大学の安蘇芳雄らは、印刷法によって薄膜活性層を作製可能なπ電子系分子に注目し、塗布法に適応できる電子輸送型の有機トランジスタ材料の開発に成功した。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●共役系高分子の高次構造制御と薄膜トランジスタへの応用 (未来材料6月号特集より)

2012年6月10日

山形大学の時任静士らは、高温XRD測定を用いて、液晶相への相転移時に起こる高分子半導体の配向過程の構造解析を行い、液晶性高分子半導体を用いた高分子薄膜トランジスタの高性能化への可能性を述べた。(uwa)

http://www.nts-book.co.jp/mirai/bn.html

 

●The Hebrew University of JerusalemのShlomo Magdassiら、銀ナノ粒子インクと電解質を連続的にインクジェット印刷し、導電性配線を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月11日

イスラエル、The Hebrew University of JerusalemのShlomo Magdassiらは、PET基板上に銀ナノ粒子インクと電解質インクを順次インクジェット印刷し、導電性配線を作製した。銀ナノ粒子インク上にNaClなどの電解質溶液を塗布し、銀ナノ粒子と電解質を接触させることで、低温プロセスでも高い導電性が得られた。電解質の種類、濃度、印刷回数を制御することで、バルク銀の30 %以上の高い導電性が得られた。(JO)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM32789A

 

●McGill UniversityのTheo G. M. van de Venら、細菌数を100万分の1に低減する高い殺菌性を有するろ紙を開発 (Advanced Functional Materialsより)

2012年6月11日

カナダ、McGill UniversityのTheo G. M. van de Venらは、簡単なろ過処理のみで大腸菌を99.99999 %除去可能な殺菌性ろ紙を開発した。このろ紙は、殺菌剤であるトリクロサンと陽イオン高分子電解質が相乗的に作用することにより高い殺菌性を示す。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201200686/abstract

 

●Sungkyunkwan UniversityのJong-Hyun Ahnら、プラスチック基板上にオールグラフェンTFTを作製 (Nano Lettersより)

2012年6月11日

韓国、Sungkyunkwan UniversityのJong-Hyun Ahnらは、プラスチック基板上にグラフェン活性層、酸化グラフェン誘電体、およびグラフェン電極を形成したグラフェンベースの薄膜トランジスタを作製した。

この薄膜トランジスタは、フレキシブルかつ透明で、ホール移動度と電子移動度はそれぞれ300、250 cm^2/Vsであった。(inu)

http://pubs.acs.org/stoken/nanotation/pipe/abs/10.1021/nl300948c

 

●University of IllinoisのJohn Rogersら、人間の皮膚に搭載可能なひずみセンサーを開発 (Advanced Functional Materialsより)

2012年6月12日

アメリカ、University of IllinoisのJohn Rogersらは、デバイスの弾性率を人間の皮膚の表皮ヤング率に近づけることで、簡単に肌を覆うことができるひずみセンサーを開発した。ひずみセンサーは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)基板上に、センサー部(カーボンブラックとPDMSの複合材料)と波状の配線部(カーボンナノチューブとPDMSの複合材料)を形成することで作製した。(tpe)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201200498/abstract

 

●ソニー、オフセット印刷を用いて有機ELで500 ppiの可能性を実証 (Tech Onより)

2012年6月12日

ソニーは、オフセット印刷法によって、500 ppiに相当する画素ピッチ51 μm(ドット・ピッチ17 μm)で有機EL材料を塗り分けた成果についてThe Society for Information Display 2012(SID 2012)で発表した。オフセット印刷法を用いて試作した有機ELパネルの画素数は960×540 (q-HD)、精細度は150 ppiである。(saka)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120612/222632/?ST=fpd&ref=rss

 

●フジクラ、静電容量式透明タッチパネルモジュールを製品化 (フジクラプレスリリースより)

2012年6月12日

フジクラは、印刷技術などを活用して静電容量式透明タッチパネルモジュールを製品化した。狭額縁配線と極細メッシュ状透明電極をR2Rグラビアオフセット印刷により一括形成した透明タッチパネルモジュールを提供する。極細メッシュ状透明電極は、低コストながら高い光透過率(90 %以上)、低表面抵抗率(50 Ω/□以下)を実現した。(tok)

http://www.fujikura.co.jp/newsrelease/2036203_2220.html

 

●Ecole Polytechnique Federale de LausanneのArnaud Magrezら、カーボンナノチューブ-SU8複合材料を用いてフレキシブル配線を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月12日

スイス、Ecole Polytechnique Federale de LausanneのArnaud Magrezらは、多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)

およびビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(SU8)を用いてインクジェット印刷用複合材料を開発した。CNTs-SU8複合材料をガラスやPET基板上に150 μm幅でインクジェット印刷し、UVおよび熱処理を行った配線は、低いCNTs濃度でも優れた密着性と導電性を示した。(park)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM16547C

 

●パナソニック、フレキシブル基板のビルドアップ多層化、薄型化に貢献するフレキシブル基板材料”FELIOS FRCC”を開発 (パナソニックプレスリリースより)

2012年6月12日

パナソニックは、一般的なフレックスリジッド基板に比べ、さらなる薄型化と基板製造時の加工プロセスの簡略化が可能なフレキシブル基板材料(樹脂付銅箔)”FELIOS FRCC”を開発した。本開発品は、カバーレイ、プリプレグ、銅箔の機能を一体化した材料であり、4層基板で総板厚が0.2 mm(約20%薄型化)と極めて薄い多層フレキシブル基板を実現した。(cjkim)

http://panasonic.co.jp/news/topics/2012/99465.html

 

●National Cheng-Kung UniversityのSteve Lien-Chung Hsuら、硝酸銀/銀ナノワイヤハイブリッドインクで銀導電性ラインを作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月13日

台湾、National Cheng-Kung UniversityのSteve Lien-Chung Hsuらは、インクジェットで硝酸銀/銀ナノワイヤハイブリッドインクを印刷し、銀配線を作製した。硝酸銀に銀ナノワイヤを加えて、インク粘度をあげることで、インクジェット印刷による連続した滑らかな配線の作製と抵抗率の改善に成功した。

20 wt%硝酸銀/銀ナノワイヤハイブリッドインクは、加熱焼結後7.31×10^-5 Ωcmの抵抗率を示した。(yskim)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/c2jm31761c

 

●Stanford UniversityのZhenan Baoら、カーボンナノチューブやグラフェンにMoOxを安定的にドープする方法を開発 (NanoLettersより)

2012年6月13日

アメリカ、Stanford UniversityのZhenan Baoらは、カーボンナノチューブやグラフェンにMoOxを安定的にドープする方法を開発した。MoOx-CNT複合材料を熱アニールして作製した薄膜電極は、高い耐久性、優れたシート抵抗(100 Ω/□)と光透過率(85 %)を有している。

作製した薄膜電極のシート抵抗は、大気中に20日間放置して10 %以下、300 ℃で一晩加熱しても2 %しか変化しなかった。(uwa)

http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/nl301207e

 

●パナソニック、LCPフレキシブル基板材料”FELIOS LCP”で第8回 JPCA賞を受賞 (パナソニックプレスリリースより)

2012年6月13日

パナソニックは、東京ビッグサイトにて開催されたJPCA Show 2012で第8回 JPCA賞を受賞した。受賞した製品であるLiquid Crystal Polymer (LCP)フレキシブル基板材料”FELIOS LCP”は、高周波特性に優れ、吸湿後の低伝送損失を実現したフレキシブル基板材料であり、スマートフォンなどの高周波配線用途での採用が期待される。(saka)

http://panasonic.co.jp/news/topics/2012/99529.html

 

●The Hong Kong polytechnic UniversityのFeng YANら、低電圧動作が可能な有機TFT用high-kポリマーを開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月14日

中国、The Hong Kong polytechnic UniversityのFeng YANらは、高誘電率のポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロフルオロエチレン(P(VDF-TrFE-CFE))を用いて有機TFT用ゲート誘電体を開発した。表面改質を行ったP(VDF-TrFE-CFE)フィルムは、1000回の曲げ試験後も、4 Vの動作電圧で優れた性能を示した。(cow)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/jm/c2jm32177g

 

●三菱化学、有機EL照明の塗布プロセス向けインクを開発 (Tech Onより)

2012年6月14日

三菱化学は、有機EL照明向けの塗布成膜プロセスに利用する有機ELインク(正孔注入材料)を東京ビッグサイトで開催された第1回プリンテッドエレクトロニクスコンベンション(PEC Japan 2012)で展示した。この塗布成膜プロセスを利用した有機EL照明の量産ラインを2013年末に立ち上げる計画である。今回開発した有機EL素子(白色型およびフルカラー調色型)は、塗布成膜プロセス用の独自発光材料の採用と、素子設計および塗布成膜プロセスを最適化したことで、照明として実用レベルの長寿命化と高効率化を達成した。(uwa)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1402E_U2A610C1000000/

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120614/223064/

 

●Uppsala UniversityのZhi-Bin Zhangら、ナノチューブ/ポリマー複合材料のディップコーティングによってヒステリシスの小さなTFTを作製 (Advanced Materialsより)

2012年6月15日

スウェーデン、Uppsala UniversityのZhi-Bin Zhangらは、半導体特性を有するポリマーにチャネル材料として単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)を複合した材料をディップコーティングして、ヒステリシスの小さな高性能TFTを作製した。作製したTFTsは、大きなon/off電流比、10 − 20 cm^2/Vsの高い移動度、優れた均一性および拡張性を示した。(park)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201200906/abstract

 

●Yuan Ze UniversityのChuan Lung Chuangら、混合した数種類の二元合金粉末をボールミルでナノオーダーに微細化し、CIGS薄膜を形成する前駆インクの作製に成功 (Powder Technologyより)

2012年6月15日

台湾、Yuan Ze UniversityのChuan Lung Chuangらは、混合した数種類の二元合金粉末をボールミルでナノオーダーに微細化し、CIGS薄膜を形成する前駆インクの作製に成功した。この方法は真空条件と有毒なセレン法を必要としないため、新しい大面積CIGS太陽電池製造法として期待される。(hsieh)

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0032591012003981

 

●Norwegian University of Science and TechnologyのTor Grandeら、水系ITOゾルをスピンコートしてITO透明導電膜を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月18日

ノルウェー、Norwegian University of Science and TechnologyのTor Grandeらは、スピンコート法を用いて水系ITOゾルからITO透明導電膜を作製した。硝酸インジウム、酢酸錫前駆体、酢酸、エチレングリコールからなるゾルをガラス基板上にスピンコートし、さらに、コートしたゾルを300 ℃まで加熱することで、直径約15 nmのITOナノ粒子からなる薄膜を形成した。このITO薄膜は、4.59×10^-3 Ωcmの低い体積抵抗率を示した。(tok)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/jm/c2jm32000b

 

●Korea UniversityのWoong Kimら、バクテリアセルロース紙等を原料にオールソリッドステートのスーパーキャパシタを作製 (ACS Nanoより)

2012年6月19日

韓国、Korea UniversityのWoong Kimらは、バクテリアセルロース紙とカーボンナノチューブ、トリブロック共重合体イオンゲルを原料にオールソリッドステートのスーパーキャパシタを作製した。このスーパーキャパシタは、半径3 mm, 200回の繰り返し曲げ試験にも耐えることができ、充放電5000サイクル後のCsp(~20 mF/cm^2)の減少率もわずか0.5%以下と良好な特性を示した。(hsieh)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn301971r

 

●University of OldenburgのJoanna Kolny-Olesiakら、硫化銅ナノロッドのサイズと形状を制御 (ACS Nanoより)

2012年6月19日

ドイツ、University of OldenburgのJoanna Kolny-Olesiakらは、硫化銅ナノロッドの簡便なコロイド合成法を開発した。核形成温度を制御することで長さ10 nmから100 nmの均一な硫化銅ナノロッドを合成することに成功した。本合成方法では、熱分解し易く、硫黄ソースとなるチオールを非配位性の合成溶媒に混ぜることで反応性を高めた。(JO)

http://pubs.acs.org/stoken/nanotation/pipe/abs/10.1021/nn302448n

 

●Kangwon National UniversityのSang-Yong Leeら、チューニングした多孔質構造を持つセルロースナノペーパーを利用して、リチウムイオン電池用の薄膜セパレーターを開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月19日

韓国、Kangwon National UniversityのSang-Yong Leeらは、多孔質構造を持つセルロースナノペーパーを利用し、リチウムイオン電池用の薄膜セパレーターを開発した。セルロース微粉末(KCフロック)をホモジナイザー処理したセルロースナノファイバーを用いて、セルロースナノペーパーを作製した。この薄膜は、一般的なPP/PE/PPセパレーターよりも高いイオン導電率と電解液浸透速度を示し、150℃で加熱しても、熱収縮しないため、次世代のリチウム紙電池の材料として期待される。(hsieh)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM32415F

 

●Kangwon National UniversityのSang Young Leeら、セルロースナノファイバーを用いたリチウムイオン電池用セパレーターを開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月20日

韓国、Kangwon National UniversityのSang-Young Leeらは、KFフロックをホモジナイザー処理したセルロースナノファイバー(CNF)ペーパーを作製し、リチウムイオン電池用セパレーターとして利用した。CNF懸濁液にイソプロピルアルコール/水= 95/5 (vol%/vol%)の混合溶媒を添加して作製したCNFペーパーは、相互連結したナノポーラスネットワークと高い機械的特性を有しており、電解質との親和性も良く、セパレーターとして優れた性能を示した。(inu)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM32415F

 

●Wuhan UniversityのTianyou Pengら、透明電極フリーの色素増感型太陽電池を紙のうえに作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月20日

中国、Wuhan UniversityのTianyou Pengらは、ニッケルコートをした紙基板を用いて低コストかつフレキシブルな色素増感型太陽電池を作製した。この色素増感型太陽電池は、ニッケルコートをした紙基板上に酸化チタン/色素の層とヨウ素フリーの電解質層を順に形成させ、250 ℃で熱処理することで作製した。作製した色素増感型太陽電池の変換効率は2.9%であった。(hsieh)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/jm/c2jm32011h

 

●Friedrich Schiller University JenaのUlrich S. Schubertら、銀ナノ粒子インクをプラズマ、およびマイクロ波焼結することでバルク銀の60%の導電性を達成 (Advanced Materialsより)

2012年6月21日

ドイツ、Friedrich Schiller University JenaのUlrich S. Schubertらは、インクジェット印刷配線にプラズマとマイクロ波を組み合わせた焼結を行い、バルク銀の60%の導電性を得た。この焼結方法は、低コストのポリマー基板に短時間で焼結できるため、R2R製造法にも適用可能である。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201200899/abstract

 

●Chinese of Academy of SciencesのXing-bin Yanら、グラフェンシートをブラシコートしてスーパーキャパシタ用電極を開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月22日

中国、Chinese of Academy of SciencesのXing-bin Yanらは、酸化グラフェンインクをブラシコートしたコットン布を、アルゴン雰囲気下で300℃加熱してスーパーキャパシタ用の電極を作製した。この電極を用いた水性電界液中のスーパーキャパシタの静電容量は、81.7 F・g^-1であった。(inu)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM32659K

●Sungkyunkwan UniversityのCheol-Woong Yangら、Arイオンビーム照射法により、自己組織化CIGSナノクリスタルの大面積製造に成功 (Solar Energy Materials & Solar Cellsより)

2012年6月23日

韓国、Sungkyunkwan UniversityのCheol-Woong Yangらは、イオンビーム照射法を用いて、自己組織化CIGSナノクリスタルの大面積製造に成功した。ナノクリスタルの形状は、イオンビームの照射時間と加速電圧によって調整できる。イオンビーム照射法は、簡単か効率的にCIGSナノドットが形成でき、太陽電池の光電転換効率向上への寄与が期待される。(hsieh)

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0927024812002681 

 

●ソニーとパナソニックがテレビ向け大型有機ELを共同開発、2013年の技術確立を目指す (ソニー、パナソニックプレスリリースより)

2012年6月25日

ソニーとパナソニックは、テレビや大型ディスプレイ向けの有機ELパネル/モジュールを共同で開発する契約を締結したと発表した。両社は有機ELの基本技術や印刷技術を活用し、次世代の有機ELパネルおよびモジュールを共同で開発する。印刷をベースとした次世代の有機EL技術は、大型かつ高精細の有機ELパネルを低コストで量産するのに適している。両社は2013年内の量産技術の確立を目指す。(saka)

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201206/12-0625/

http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn120625-7/jn120625-7.html

 

●University of WaterlooのY. Norman Zhouら、酸化銅で修飾した銀ナノワイヤでラマン分光バイオセンサーを開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年6月25日

カナダ、University of WaterlooのY. Norman Zhouらは、酸化銅で表面修飾した銀ナノワイヤを用いてラマン分光バイオセンサーを開発した。表面を粗くした銀ナノワイヤと分子捕捉能力のある酸化銅ナノ粒子を用いることで生体分子に対して高感度なセンサーが作製された。(tpe)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM33158F

 

●三菱樹脂、低熱膨張率を有する高透明耐熱フィルムの開発を推進 (化学工業日報より)

2012年6月25日

三菱樹脂は、熱膨張率をポリイミドフィルムの半分以下に抑えた高透明耐熱フィルムの開発を推進する。このフィルムは、透明でありながら耐熱温度が220 ℃以上と高く、熱収縮が小さいという特徴を持つ。同社は、タッチパネル、有機EL、有機太陽電池といった薄型パネルのガラス基板代替を狙っており、2~3年内の販売および本格量産化を目指してい

る。(tok)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/06/25-7116.html

 

●”飛躍できるか、プリンテッド・エレクトロニクス”と題して日経エレクトロニクス6月25日号に特集記事が掲載 (日経エレクトロニクスより)

2012年6月25日

本特集号では、プリンテッド・エレクトロニクス技術やそれらに基づいて製造された製品に関して紹介している。また、プリンテッド・エレクトロニクスの更なる実用化に向け、”オンデマンド印刷”をテーマとしたインクジェット印刷の展望と期待についても掲載されている。(cow)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20120621/224353/?ref=RL3

 

●KAISTのSeokwoo Jeonら、絶縁性または導電性を有した伸縮性複合材料を開発 (Nature Communicationsより)

2012年6月26日

韓国、Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST)のSeokwoo Jeonらは、液体金属とポリ(ジメチルシロキサン)の3次元ナノ構造を作ることで、導電性または絶縁性を有した伸縮性複合材料を開発した。導電性伸縮性複合材料は、200%の伸びでも高い電気伝導度(~24, 100 Scm^-1)と優れた電流容量と伸縮耐久性を示した。(cow)

http://www.nature.com/ncomms/journal/v3/n6/full/ncomms1929.html

 

●日本ガイシ、特定波長の赤外線を照射することで、乾燥時間を半分以下に短縮できるシステムを開発 (日本ガイシプレスリリースより)

2012年6月27日

日本ガイシは、溶液が塗布されたフィルムや箔などの乾燥時間を従来の半分以下の時間で乾燥させる”波長制御乾燥システム”を開発した。塗布した溶液中の溶剤蒸発に有効な特定波長の赤外線を選択的に照射することで、乾燥時間を大幅に短縮した。本技術は、照射した赤外線のエネルギーを効率的に利用できるため、乾燥炉のエネルギー消費も30~50%削減できる。(cjkim)

http://www.ngk.co.jp/news/2012/120627.html

 

●Rice UniversityのPulickel M. Ajayanら、スプレー塗布して作るLiイオン2次電池を開発 (Scientific Reportsより)

2012年6月28日

イギリス、Rice UniversityのPulickel M. Ajayanらは、大面積のLiイオン2次電池をスプレー法による塗布プロセスで製造する技術を開発した。このLiイオン2次電池は5層の薄膜から成るが、これらをすべてスプレー法で作製している。(park、cow)

http://www.nature.com/srep/2012/120628/srep00481/full/srep00481.html

 

●Ajou UniversityのJi young Parkら、様々な基板上にCNTsデバイスを転写印刷 (Advanced Materialsより)

2012年6月28日

韓国、Ajou UniversityのJi-young Parkらは、SiO2/Si基板上に作製したカーボンナノチューブ(CNTs)デバイスを非平面もしくはソフトな基板上に転写印刷させることに成功した。この方法を用いることで、ターゲット基板上へのダメージの低減や作製プロセスの簡略化が期待される。(park)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201794/abstract

 

●NovaledとSamsung、モバイルディスプレイ事業で提携 (Novaledプレスリリースより)

2012年6月29日

ドイツ、Novaledと韓国、Samsung Mobile Displayは、ライセンスと購入契約を締結したと発表した。契約の一環として、Samsung Mobile DisplayはNovaledよりAMOLEDディスプレイモジュールで使用されるドーパント材料を購入する。一方、Novaled は、Samsung Mobile Display に”PIN OLED技術”を提供する。(cow)

http://www.novaled.com/press_news/news_press_releases/newsitem/novaled_and_samsung_mobile_display_sign_a_strategic_cooperation_agreement/

 

●Institute for Integrative Nanosciencesの Denys Makarovら、印刷可能な巨大磁気抵抗デバイスを開発 (Advanced Materialsより)

2012年7月3日

ドイツ、Institute for integrative nanosciencesの Denys Makarovらは、巨大磁気抵抗効果(GMR)に依存する印刷可能な磁気センサーを開発した。任意の表面へ印刷可能な磁気感応性インクを用いて作製したセンサーは、室温において8%のGMRを示した。(uwa)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201190/abstract

 

●東海ゴム工業、有機ELフィルムの事業化を推進 (化学工業日報より)

2012年7月4日

東海ゴム工業は、有機ELフィルムの事業化を推進する。封止技術などをベースにした同製品は、厚さ0.5 mmと薄く曲面配置ができるほか、

低電圧仕様により電池駆動に対応している。また、これまでの面発光から新たに文字表示を可能とするなど製品の高機能化も図っている。(saka)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/07/04-7256.html

 

●Technical University of DenmarkのFrederik C. Krebsら、R2Rフレキソ印刷と光焼結技術を組み合わせて銀電極を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年7月4日

デンマーク、Techniacal University of DenmarkのFrederik C. Krebsらは、60 μmのバリア層を形成した基板上へロール・ツー・ロール(R2R)フレキソ印刷と光焼結技術を組み合わせて銀電極を作製した。光焼結法を用いれば、短時間・一回の光照射で銀ナノ粒子インク配線の導電性が大幅に上昇し、基板との密着性も得られることが判明した。(tpe)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM32977H

 

●University of CaliforniaのYang Yangら、変換効率4%の透明な有機太陽電池を溶液プロセスで作製 (ACSNANOより)

2012年7月4日

アメリカ、University of CaliforniaのYang Yangらは、溶液プロセスを用いて、可視光透過率が高い有機太陽電池を作製した。作製した透明有機太陽電池は、可視光ではなく近赤外線からエネルギーを吸収する光活性層と、銀ナノワイヤ/金属酸化物コンポジットをコートした透明導電膜からなる。波長550 nmに対する光透過率は66%であり、光変換効率は4%に達した。(cow、saka)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn3029327

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120725/230270/

 

●University of OuluのKrisztián Kordásら、WO3ナノ粒子をインクジェット印刷してガスセンサーを作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年7月10日

フィンランド、University of OuluのKrisztián Kordásらは、様々な金属先駆体でコーティングしたWO3ナノ粒子をインクジェット印刷してガスセンサーを作製した。作製したガスセンサーは、空気中に存在する0.1%以下濃度のガス(H2やNOなど)もセンシングできる能力を有している。(cjkim)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM32499G

 

●生鮮食品監視の為のフレキシブルセンサー開発に向けてThinfilm とBemisが提携 (Thinfilmプレスリリースより)

2012年7月10日

ノルウェー、Thin Film Electronics ASAと包装材料や圧力センサーを開発しているアメリカ、Bemisは、包装市場のための柔軟なセンシングプラットフォームを開発することで合意したと発表した。将来的には印刷技術を用いて低コスト生産することで、世界中の大手食品、消費者製品およびヘルスケア企業での使用を想定している。(cow)

http://www.thinfilm.no/news/press-releases/339-bemis-selects-thin-film-electronics-to-develop-intelligent-packaging-platform

 

●VTT Technical Research Centre of FinlandのJaakko Leppaniemiら、R2Rプロセスでフレキシブル基板上にWORNメモリを作製 (Nanotechnologyより)

2012年7月10日

フィンランド、VTT Technical Research Centre of FinlandのJaakko Leppaniemiらは、ロール・ツー・ロール(R2R)プロセスでフレキシブル基板上にwrite-once-read-many(WORM)メモリを作製した。高抵抗”0″状態から低抵抗”1″状態へのメモリの書き込み操作は、銀ナノ粒子を含む素子の急速な電気的焼結により行われる。(inu)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/30/305204/

 

●AISTの高木秀樹ら、印刷技術と射出成形技術だけを用いる低コストMEMS製造技術を開発 (産業技術総合研究所プレスリリースより)

2012年7月10日

産業技術総合研究所(AIST)の高木秀樹らは、印刷技術と射出成形技術だけを用いる低コストMicro Electro Mechanical Systems (MEMS)製造技術を開発した。今回開発した技術は、真空プロセスを使わず大面積デバイスの作製が可能な印刷技術と、設備投資が少なく製造コストも低い射出成形技術による、MEMSデバイス製造を可能とした。これまで半導体製造工程を必要としたMEMSデバイスが、少ない設備投資で、しかも低コストで製造できる。(tok)

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20120710_2/pr20120710_2.html

 

●Georgia Institute of TechnologyのBernard Kippelenら、溶液プロセスで低分子型n-チャネル有機電界効果トランジスタを作製 (Advanced Materialsより)

2012年7月12日

アメリカ、Georgia Institute of TechnologyのBernard Kippelenらは、ナフタレンジイミドおよびテトラジンを含む低分子材料を合成し、ガラス基板上にスピンコート、またはインクジェット印刷する溶液プロセスにより、n-チャネル有機電界効果トランジスタを作製した。この2種類の方法で作製したトランジスタは、移動度がそれぞれ0.15、0.13 m^2/(V・s)であり、高い環境安定性を示した。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201689/abstracthttp://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201689/abstract

 

●North Carolina State UniversityのYonh Zhuら、高導電性かつ銀ナノワイヤ伸縮性導体を作製 (Advanced Materialsより)

2012年7月12日

アメリカ、North Carolina State UniversityのYonh Zhuらは、PDMS基板表面へ銀ナノワイヤを埋め込むことで伸縮性導体を作製した。この導体は、数回伸縮させると銀ナノワイヤ/PDMS部が波状構造を作り、0-50%ひずみの範囲で一定の導電率(1.9×10^-4 Ωcm)を示す。また印刷技術を用いて、銀ナノワイヤをパターン化した伸縮導体を作製することにも成功した。(tpe)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201886/abstract

 

●Case Western Reserve UniversityのKenneth D. Singerら、有機材料ベースの共押出多層フィルムを用いて光データ記憶に成功 (Advanced Materialsより)

2012年7月13日

アメリカ、Case Western Reserve UniversityのKenneth D. Singerらは、有機材料ベースの共押出多層フィルムを利用して、3Dの光データ記憶に成功した。共押出し法は、現在の方法よりもはるかに低コストで大面積での成膜が可能である。フレキシブルで材料適合性に優れており、新しいデータフォーマットとして期待される。(cow)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201200669/abstract

 

●University of Southern CaliforniaのChongwu Zhouら、半導体型カーボンナノチューブを選択的に用いて透明トランジスタを開発 (ACS Nanoより)

2012年7月13日

アメリカ、University of Southern CaliforniaのChongwu Zhouらは、半導体型のカーボンナノチューブ(CNT)のみを選択的に利用することで、室温形成可能で高移動度を示す透明トランジスタを開発した。この透明トランジスタは、Au/Pd薄層上にITOを塗布したソース・ドレイン電極を用いた場合、82%の光透過率を示した。また、フレキシブル基板上に作製した際、変形時における電気的特性の変化が小さかった。(tpe)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn3026172

 

●早稲田大学の竹延大志ら、イオンゲル誘電体を用いて高フレキシブル性を有したMoS2薄膜トランジスタを作製 (Nano Lettersより)

2012年7月16日

早稲田大学の竹延大志らは、イオンゲル誘電体を用いて高フレキシブル性を有したMoS2薄膜トランジスタを作製した。このトランジスタは低い閾値電圧(<1 V)と高い移動度(12.5 cm^2/(V・s))と高いオンオフ比(10^5)を有していた。さらに、曲率半径0.75 mmで曲げても電気特性は低下しなかった。(tok)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl301335q

 

●タムラ製作所、反射率80%超かつ基板への定着時間を短縮可能なLED照明用白色絶縁材開発 (日刊工業新聞より)

2012年7月16日

タムラ製作所は、80%以上の高い反射率を持ちながら、基板への定着時間を短縮化した白色絶縁材を開発した。基板に塗膜した後、紫外線を照射するだけで硬化できるため、従来の写真現像型に比べて工程数を半減できる。プリント基板のハンダ付けをしない部分に塗布して基板を保護する絶縁材として利用可能で、一般的な緑色のレジストに比べて光の反射性能が高い。(park)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320120716bjaf.html

 

●Zhejiang UniversityのChao Gaoら、高強度、軽量、導電性のグラフェンエアロゲルファイバーを作製 (ACS Nanoより)

2012年7月16日

中国、Zhejiang UniversityのChao Gaoらは、液体窒素中で酸化グラフェン液晶ゲルをスピニング処理することにより、コア・シェル型の多孔質グラフェンエアロゲルファイバーを作製した。この繊維材料は、10^3 S/m台の導電性、188 kN m kg^-1の引張強度を有しており、触媒やフレキシブル電池、スマート衣服などへ応用が期待される。(tpe)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn3021772

 

●Chinese Academy of SciencesのJin Fang Zhiら、フレキシブルな透明導電性グラフェンフィルムの合成方法を開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年7月16日

中国、Chinese Academy of SciencesのJin Fang Zhiらは、化学還元と熱還元の2種類の還元法を用いた、フレキシブル透明導電性グラフェンフィルムの新たな合成プロセスを開発した。このハイブリット還元法により作製したフレキシブルグラフェンフィルムは、可視光(波長: 540~840 nm)照射下で80%の透過率、850 Ω/sq以下のシート抵抗を示した。このシート抵抗はCVD法で作製したグラフェンフィルムのシート抵抗(280~770 Ω/sq)とほぼ同じであり、溶液プロセスで作製したグラフェンフィルムのシート抵抗(10^3~10^4 Ω/sq)より非常に小さかった。(park)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/c2jm31048a

 

●米国IPCと日本JPCA、PE関連技術規格として、世界初の共同規格を発行 (IPCプレスリリースより)

2012年7月17日

米国IPCと日本JPCAは、共同で、PE関連技術規格として、世界初となる規格を発行した(IPC/JPCA-4921″Requirements for Printed Electronics Base Materials(Substrates)”)。

同規格は、フレキシブル基板に関する規定を盛り込んだもので、基板の厚さなどのクラス分け、評価方法の選択、スペックシートの例などを記述している。昨年より策定を開始し、数度のバージョンアップを経て発行に至り、この他に3件の規格策定を継続している。なお、日本語訳は、JPCAから発行予定である。(suga)

http://www.ipc.org/ContentPage.aspx?pageid=IPC-and-JPCA-Develop-First-Operational-level-Standard-for-the-Printed-Electronics-Industry

 

●South Dakota State UniversityのQiquan Qiaoら、Niを含有したカーボンナノチューブ/ナノファイバー複合材料を用いて、低コストの色素増感太陽電池用対電極を作製 (Nanoscale)

2012年7月18日

アメリカ、 South Dakota State UniversityのQiquan Qiaoらは、Niを含有したカーボンナノチューブ/ナノファイバー(CNF-CNT-Ni)複合材料を用いて色素増感太陽電池用の対電極を作製した。CNF-CNT-Ni複合材料は、88.49wt%のCと11.51wt%のNiで構成されていた。CNF-CNT-Ni電極の電荷移動抵抗は0.71 Ωcm^2 であり、従来のPt電極の1.81 Ωcm^2よりも小さかった。低コストかつ高性能な新規電極材料として期待される。(JO)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/NR/C2NR31379K

 

●UDCとPlextronics、有機EL技術の商業化に向けて締結 (Universal Display Corporationプレスリリースより)

2012年7月19日

アメリカの有機EL材料技術を手掛けるUniversal Display Corporation(UDC)とプリンテッドエレクトロニクス技術の開発製造を手がけるPlextronicsは、3年間の共同開発契約を締結した。両社は、Plextronicsの正孔注入層及び正孔輸送材料をUDCのリン光有機EL発光層に組み込んだ有機EL材料システムの開発と商業化を加速させる。(cow)

http://www.universaldisplay.com/downloads/Press%20Releases/2012/07.19.12%20UDC%20and%20Plextronics%20Announce%20Strategic%20Alliance%20to%20Develop%20Next-Gen%20OLED%20Material%20Systems.pdf

 

●Brown UniversityのShouheng Sunら、簡便な湿式法により合成したITOナノ結晶で透明導電膜を作製 (Journal of the American Chemical Societyより)

2012年7月21日

アメリカ、Brown UniversityのShouheng Sunらは、粒径11 nmの単分散ITOナノクリスタルを簡便な湿式法で合成した。ITOナノクリスタル分散液をスピンコートし、アルゴン+水素5%ガス雰囲気下で300 ℃、6時間加熱すると、透過率93%、体積抵抗率5.2×10^-3 Ωcm(シート抵抗352 Ω/□)の透明導電膜を作製した。これらの値は、湿式合成法で作製したITOナノクリスタル透明導電膜の中で最高値である。(tpe)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja3044807

 

●University of Science and Technology of China Hefeiの Shu-Hong Yuら、 磁場アシストエレクトロスピニング法により、ポリマーナノファイバーマット中でAgナノワイヤを配列させることに成功 (Smallより)

2012年7月23日

中国、University of Science and Technology of China Hefeiの Shu-Hong Yuらは、磁場アシストエレクトロスピニング法を利用して、

ポリマーナノファイバーマット内でAgナノワイヤー(AgNWs)を平行に配向させる方法を開発した。ポリマーマトリックスの構造制御により、複雑なAgNWs階層構造を形成させることも可能であった。(Jo)

http://onlinelibrary.wiley.com/resolve/doi?DOI=10.1002%2Fsmll.201201353

 

●金沢大学の當摩ら、ナノロッドシートで有機薄膜太陽電池の新たな構造を開発 (科学技術振興機構プレスリリースより)

2012年7月24日

金沢大学の當摩らは、低コストの次世代太陽電池として期待される有機薄膜太陽電池で新たな構造を開発した。今回新たに開発されたのは、ナノメートルサイズの棒状粒子であるナノロッドを用いた構造であり、単純に半導体材料を積層した電池に比べて3倍の変換効率(4.1%)を示した。(cjkim)

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120724/

 

●富士フイルムが有機ELの特許ポートフォリオをUDCに105億ドルにて譲渡 (富士フイルムプレスリリースより)

2012年7月24日

富士フイルムとUniversal Display Corporation(UDC)は、富士フイルムの保有する国内外の有機EL特許・特許出願約1,200件からなる特許ポートフォリオをUDCに105億ドルにて譲渡する契約を締結した。UDCは、その特許ポートフォリオを拡充するとともに、新しい有機EL材料・製品開発の可能性を広げることが可能になる。 富士フイルムは、ハイバリア性透明フィルム、透明導電性フィルム、フレキシブル基板などの高機能材料のビジネスを伸張させ、UDCの顧客を含む全世界の有機ELメーカーに、これら高機能材料を供給していく。(saka)

http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0675.html

http://www.universaldisplay.com/downloads/Press%20Releases/2012/07.24.12%20UDC%20Purchases%20Fujifilms%20Worldwide%20OLED%20Patent%20Portfolio%20for%20$105M.pdf

 

●Middle East Technical UniversityのHusnu Emrah Unalanら、銀・CNT・ゲルマニウムナノワイヤネットワーク構造の透明でフレキシブルな光検出器を作製 (Nanotechnologyより)

2012年7月25日

トルコ、 Middle East Technical UniversityのHusnu Emrah Unalanらは、単層カーボンナノチューブと銀ナノワイヤをコンタクト素子として、ゲルマニウムナノワイヤをアクティブ半導体素子として光検出器を作製した。作製したデバイスは応答性に優れ、緩和時間(<10ミリ秒)も短く、フレキシブルかつ高い可視光透過率を示した。(Jo)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/32/325202

 

●POSTECHのJong-Lam Leeら、アルカリ土類金属を利用して表面プラズモンカップリング現象を制御し、銀コートフィルムの可視光透過率を向上させることに成功 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年7月25日

韓国、POSTECHのJong-Lam Leeらは、アルカリ土類金属によって表面プラズモン(SPs)カップリングを制御し、銀コートフィルムの可視光透過率を向上させることに成功した。銀層と誘電基板フィルム界面で起こるSPsカップリングは可視光透過率を減少させる原因となるが、銀と誘電フィルムとの間にアルカリ土類金属の薄膜を挿入すると、SPsカップリングが抑制され、可視光透過率47.9%から69.8%に向上した。これにより、OLEDの最大輝度も24300 cd m^−2から32700 cd m^−2まで向上した。(park)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/jm/c2jm32244g

 

●KAISTのKeon Jae Leeらは、折り曲げ可能な無機薄膜リチウムイオン電池を開発 (Nano Letters より)

2012年7月27日

韓国、KAISTのKeon Jae Leeらは、転写法を利用して、フレキシブルな薄膜リチウムイオン電池(LIB)を作製することに成功した。高温アニール処理により作製した電極をポリマー基板上に転写することも可能で、高性能なLIBが得られた。フレキシブルな電子デバイスへの利用が期待される。(yskim)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl302254v

 

●SNUのKahp-Yang Suhら、Ptコートポリマーナノファイバーの可逆的インターロック構造を利使用してフレキシブルで高感度なひずみゲージセンサを作成 (Nature Materialsより)

2012年7月29日

韓国、Seoul National UniversityのKahp-Yang Suhらは、フレキシブルかつ高感度のひずみセンサーを作製することに成功した。本デバイスは、Ptコーティングした高アスペクト比のポリマーナノファイバーアレイをポリジメチルシロキサン薄膜に担持させ、それを2つ向かい合せにサンドイッチして作製された。センサーの応答は非常に再現性が良く、オン/オフ切り替え動作も10,000サイクルと非常に良好な特性であった。(yskim)

http://www.nature.com/nmat/journal/vaop/ncurrent/full/nmat3380.html

 

●Chinese Academy of SciencesのSishen Xieら、階層的網目構造を有するカーボンナノチューブフィルムとポリジメチルシロキサンを複合化して伸縮性透明導電体を開発 (Advanced Functional Materialsより)

2012年8月1日

中国、Chinese Academy of SciencesのSishen Xieらは、階層的網目構造を有する単層カーボンナノチューブフィルムをポリジメチルシロキサンに埋め込み、伸縮性導電体を開発した。

この伸縮性導電体は、可視光領域で高い透明性を示し、伸長状態でも高い導電性を維持していた。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201201013/abstract

 

●Applied Nanotech、マイクロサイズの銅粒子インクを開発 (Applied Nanotechプレスリリースより)

2012年8月1日

アメリカ、Applied Nanotechは、プリンテッド・エレクトロニクス向けの銅インクを開発したと発表した。銅インクの材料はミクロンサイズの銅粒子で、高い導電性と低コスト化を実現した。スマートカード、RFIDアンテナ、タッチスクリーンやスマートフォンのセンサなどの電子デバイス用途として期待される。(cow)

http://www.appliednanotech.net/news/120801_Micron_Copper_Ink.php

 

●Dalian University of TechnologyのHeqiu Zhangら、紙基板上にZnOナノロッドを成長させることでフレキシブルな圧電ナノ発電機を開発 (Nanoscaleより)

2012年8月6日

中国、Dalian University of TechnologyのHeqiu Zhangらは、紙基板上に成長させた圧電性ZnOナノロッドを用いて、力学的エネルギーを電力に変換することに成功した。このエネルギー変換装置は、高いフレキシブル性と圧電感度を有しており、最大出力電圧が10 mV、出力電流が10 nAであった。(inu)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/NR/C2NR31031G

 

●Dalian University of TechnologyのTingli Maら、チタン基板ベースのフレキシブル色素増感型太陽電池の光変換効率を向上させる簡便な手法を開発 (Smallより)

2012年8月7日

中国、Dalian University of TechnologyのTingli Maらは、Ti基板にTiO2 nanoforestを形成させることで、色素増感型太陽電池の変換効率8.46%を達成した。未処理の基板を用いた場合と比較すると2.5倍向上した。Nanoforest層はTi基板の表面粗さを向上させ、その上にスクリーン印刷したTiO2ナノ粒子との電気的接触を増加させる。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smll.201200802/abstract

 

●Dalian University of TechnologyのTingli Maら、チタン基板ベースのフレキシブル色素増感型太陽電池の光変換効率を向上させる簡便な手法を開発 (Smallより)

2012年8月7日

中国、Dalian University of TechnologyのTingli Maらは、Ti基板にTiO2 nanoforestを形成させることで、色素増感型太陽電池の変換効率8.46%を達成した。未処理の基板を用いた場合と比較すると2.5倍向上した。Nanoforest層はTi基板の表面粗さを向上させ、その上にスクリーン印刷したTiO2ナノ粒子との電気的接触を増加させる。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smll.201200802/abstract

 

●Royal Institute of Technology のQi Zhouら、第四級アンモニウム塩で修飾した疎水性セルロースナノ結晶を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年8月7日

スウェーデン、Royal Institute of TechnologyのQi Zhouらは、第四級アンモニウム塩を用いて、水溶液中でのセルロースナノ結晶の表面修飾に成功した。TEMPO酸化処理によってセルロース表面に導入したカルボキシル基とアンモニウム塩の静電相互作用を利用している。アンモニウム塩で修飾した疎水性セルロースナノ結晶は、有機溶媒中への分散が可能で、非極性ポリマーとの複合化に向けた展開が期待される。(inu)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM34355J

 

●University of CalforniaのYang Yangら、Agナノワイヤを用いた完全溶液成膜法で薄膜有機太陽電池を作製 (Advanced Materialsより)

2012年8月7日

アメリカ、University of CalforniaのYang Yangらは、AgナノワイヤとITOナノ粒子を溶液法で合成し、それをCuInSe2太陽電池の窓層(表面層)として実装した。このデバイスは、従来使用されているZnOとITO膜と同等もしくはそれ以上の光起電力パラメータを示した。(uwa)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201010/abstract

 

●タムラ製作所、銀使用量を0.3%に抑制したペースト状ハンダを開発 (日刊工業新聞より)

2012年8月7日

タムラ製作所は銀の使用量を大幅に減らしたペーストハンダを開発した。電子基板に使用されているハンダは銀を3%含んでいるのに対し、新製品は0.3%に抑制した。ハンダの溶融温度が従来と同じ220℃であるため、これまでのリフロー装置をそのまま使用できる。新開発の活性材料を用いたフラックス(酸化除去材料)を採用し、作業性や高い接合信頼性、ぬれ性など従来製品と同等の特性を実現した。(park)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320120807bjat.html

 

●東北大など、グラフェンの層数を制御し電子物性を自由自在に操る技術を開発 (日刊工業新聞より)

2012年8月7日

東北大学電気通信研究所の吹留博一准教授らは、ドイツのエルランゲン大学、高輝度光科学研究センター、弘前大学などと共同で、次世代材料であるグラフェンの単層や2層、3層などの層数を制御してナノスケールで電子物性を自在に操れる技術を開発した。微小電気機械システム(MEMS)技術を用いて数マイクロメートルと小さなパターンをつくることで実現した。この技術は、グラフェンを用いた次世代の電界効果トランジスタ(FET)や光デバイスなどの半導体の実用化につながると期待される。(park)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0720120807eaaf.html

 

●Korea Advanced Institute of Science and TechnologyのSeung Hwan Koら、極めて長い銀ナノワイヤの合成法を開発 (Nanoscaleより)

2012年8月7日

韓国、Korea Advanced Institute of Science and TechnologyのSeung Hwan Koらは、極めて長い銀ナノワイヤの合成法を開発し、低温レーザーナノ溶接技術を応用し、フレキシブルな透明導電膜を作製した。さ らに、この透明導電膜を用いて、フレキシブルLED配線や透 明タッチパネルへの応用にも成功した。将来、様々なオプト・エレクトロニクスや電子衣服への応用が期待される。(hsieh)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/nr/c2nr31254a

 

●新日鉄化学、ナノ材料の新規製品・事業創出に向けた取り組みを加速 (化学工業日報より)

2012年8月8日

新日鉄化学は、ナノ材料の新規製品・事業創出に向けた取り組みを加速すると発表した。同社が確立したマイクロ波照射による金属微粒子化技術などを活用し、ナノ粒子、ナノ複合材料、プリンテッド・エレクトロニクス向けインキ、ナノカーボンの2015年度までの事業化を目指す。(saka)

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/08/08-7725.html

 

●7.4型の曲がる有機ELディスプレイ、帝人デュポンフィルムのPENフィルムを採用 (日経Tech-Onより)

2012年8月8日

帝人デュポンフィルムは、同社のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム“テオネックス”が、アメリカのFlexible Display Center(FDC)が開発する7.4型フレキシブル有機ELディスプレイに、電子回路基板材料として採用されたと発表した。帝人デュポンフィルムは、PENフィルムのフレキシブル太陽電池の基板材料としての用途開拓を進め、早期に年間売上高10億円を目指す。(saka)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120808/233133/?ST=fpd&ref=rss

 

●The Hebrew University of JerusalemのMagdassiら、インクジェット印刷したカーボンナノチューブ電極を用いてフレキシブルELデバイスを作製 (Nanotechnologyより)

2012年8月10日

イスラエル、The Hebrew University of JerusalemのMagdassiらは、カーボンナノチューブインクをインクジェット印刷とウェットコーティングして形成した電極を用いて、フレキシブルELデバイスを作製した。このデバイスには、グリッド状の多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)の透明電極が用いられており、その導電性と透明度は、MWCNTsの厚さを調節することで制御できた。下記リンクに解説動画あり。(cjkim)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/34/344003

 

●University of CaliforniaのQibing Peiら、銀ナノワイヤーと架橋ポリアクリル酸のコンポジットを用いて伸縮性を有する透明導電膜を作製(Nanotechnologyより)

2012年8月10日

アメリカ、University of CaliforniaのQibing Peiらは、架橋ポリアクリル酸レイヤーに銀ナノワイヤーを埋め込んだ伸縮性透明導電膜を作製した。この伸縮性透明導電膜は、50%伸ばしてもシート抵抗の増加は2.3倍のみで、さらに、50%のひずみを600回繰り返して与えた場合にシート抵抗の増加は小さかった。(tok)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/34/344002

 

●Hanyang UniversityのMyung Mo Sungら、フレキシブルエレクトロニクスに向けて有機―無機ナノハイブリッド不揮発性メモリトランジスタを作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年8月10日

韓国、Hanyang UniversityのMyung Mo Sungらは、フレキシブルエレクトロニクスに向けて原子層堆積法を用いて有機―無機ナノハイブリッド不揮発性メモリトランジスタを低温プロセスで作製した。このメモリトランジスタは、厚さ3 nmのZnO:Cuのチャージトラップ層が有機層にサンドイッチされた構造である。(tok)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM32767H

 

●Seoul National UniversityのTakhee Leeら、化学的にドープしたグラフェン透明導電膜を用いたフレキシブルな有機太陽電池を作製(Nanotechnologyより)

2012年8月10日

韓国、Seoul National UniversityのTakhee Leeらは、プラスチック基板に作製した化学的にドープした多層グラフェン透明導電膜を用い、フレキシブルなP3HT: PCBM有機太陽電池を作製した。化学的にドープしたグラフェン膜のシート抵抗は、ドープしなかったものと比べて半分に減少し、太陽電池の性能が著しく向上した。ドープしたグラフェン透明導電膜はフレキシブルであるので、最大5.2 mm曲率半径条件で曲げても2.5%の電力効率を維持していた。(cow)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/34/344013/article/ 

 

●Imperial College LondonのCecilia Matteviら、高性能なグラフェントランジスタを溶液法で作製 (Nanotechnologyより)

2012年8月10日

イギリス、Imperial College LondonのCecilia Matteviらは、グラフェン/有機誘電体の界面を持ったグラフェントランジスタを、低温かつ溶液法で作製した。誘電体材料にはHyflon AD (Solvay)、low-kフルオロポリマー、および種々の有機自己組織化単分子膜(SAM)ナノ材料を使用した。グラフェントラ

ンジスタは、グラフェン/有機誘電体界面により従来のSiO2ベースのデバイスと比較して、性能と信頼性が向上した。大容量かつ低温プロセスが必要とされるグラフェンマイクロエレクトロニクスの実現に向けた、重要な成果になると期待される。(cow)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/34/344017

 

●Seoul National UniversityのByung Hee Hongら、低温成長で作製したgraphene-graphitic carbonをプラスチック基板上へ直接転写することに成功 (Nanotechnologyより)

2012年8月10日

韓国、Seoul National UniversityのByung Hee Hongらは、 graphene-graphitic carbon(G-GC)フィルムを低温成長により作製し、プラスチック基板上に直接転写することに成功した。300 ℃の化学気相蒸着でCu上に数層のグラフェン層を、さらに成長させたグラフェン層上にGCの成長を実現した。(Jo)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/34/344016

 

●University of TwenteのJurriaan Huskensら、フレキシブル基板への薄膜トランジスタの作製手法に関する総説を発表 (Advanced Materialsより)

2012年8月13日

オランダ、University of TwenteのJurriaan Huskensらは、フレキシブル基板への薄膜トランジスタの作製手法に関する総説を発表した。フレキシブル薄膜トランジスタの大面積パターニングに焦点をおいて、従来の印刷手法とナノインプリントやソフトリソグラフィなどのパターニング法が解説された。(tok)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201202949/abstract

 

●東京工業大学の松下伸広ら、水系溶液プロセスと紫外線照射処理を用いたZnO透明導電膜を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年8月14日

東京工業大学の松下伸広らは、100 ℃未満の低温溶液プロセスと紫外線照射処理を用いてZnO透明導電膜を作製した。作製したZnO薄膜に紫外線を照射させると、ZnO薄膜の体積抵抗率が11 Ωcmから4.4×10^-3 Ωcmに大きく低下した。(tok)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM33584K

 

●University of Electronic Science and Technology of ChinaのYao Tangら、加熱が不要な銀ナノ粒子インクを開発 (Nanotechnologyより)

2012年8月15日

中国、University of Electronic Science and Technology of ChinaのYao Tangらは、硝酸銀にエチレングリコールとPVPを加え、ポリオール還元により作製した粒径90 nmの銀ナノ粒子を用いて、Clイオンの添加で焼結する加熱不要な銀ナノ粒子インクを開発した。銀ナノ粒子を保護するPVPがClイオンと反応することで脱離し、焼結が起こる。本インクを利用して、FR4(Flame Retardant Type 4)基板上に導電性配線の作製を行ったところ、その配線はバルク銀の16%に相当する導電性を有していた。(cjkim)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/35/355304

 

●University of WollongongのGeoffrey M. Spinksら、歪みセンサーとして利用可能な高導電性ヒドロゲルを開発 (Chemistry of Materialsより)

2012年8月15日

オーストラリア、University of WollongongのGeoffrey M. Spinksらは、ダブルネットワークゲルにPEDOTを化学重合させて、高強度で導電性を有するハイドロゲルを作製した。このハイドロゲルの圧縮・引張強度はそれぞれ11.6 MPaと0.6 MPaで高く、最大導電率は4.3 Scm^-1であった。これらの値はpHにより変化し、さらに、荷重変化により電気抵抗が変わるため、歪みセンサーなどへの応用が可能である。(Park)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/cm301666w

 

●東レ、塗布型CNT-TFTで世界最高レベルの性能を実現 (東レプレスリリースより)

2012年8月16日

東レは、独自に開発した半導体ポリマーと単層カーボンナノチューブ(CNT)を複合化することにより、世界最高レベルの性能(移動度:2.5 cm^2/Vs、オンオフ比:10^6)を示す塗布型CNT薄膜トランジスタ(CNT-TFT)の開発に成功した。単層CNTの表面にポリ-3-ヘキシルチオフェン(P3HT)を付着させることで凝集を抑制し、また、しきい値電圧を低減可能なゲート絶縁材料を開発することによって、高いTFT特性を実現した。(saka)

http://www.toray.co.jp/news/elec/nr120816.html

 

●沖電線、配線層の厚さ6倍のプリント配線基板を発売 (朝日新聞より)

2012年8月22日

沖電線は、従来35μmだった配線層(回路導体)の厚みを約6倍の210μmにしたフレキシブルプリント配線板を発売した。厚さを増したことで、より高い電流や電圧に対応できる。また、厚銅化しながらも軽量化することにより、曲げることを容易にし、配線材や回路基板として使用できる構造にした。モーター配線や、曲げられるループアンテナなど、幅広い需要を想定している。 (uwa)

http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201208220020.html

 

●Technical University of DenmarkのFrederik.C.Krebsら、様々な印刷技術を用いて、有機太陽電池用の前面電極を作製 (Nanoscaleより)

2012年8月22日

デンマーク、Technical University of DenmarkのFrederik.C.Krebsらは、銀ナノ粒子インクを様々な印刷技術(インクジェット印刷、フレキソ印刷、インプリント印刷)を用いて印刷し、有機太陽電池用の前面電極を作製した。これらの前面電極を用いて、ロール・ツー・ロール法で作製した有機太陽電池の電力変換効率は、それぞれ1.84%、0.79%、1.72%であった。(saka)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/NR/c2nr31508d 

 

●Yonsei UniversityのJooho Moonら、酸化物TFTs用の酸化イットリウムゲート誘電体を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年8月24日

韓国、Yonsei UniversityのJooho Moonらは、可溶性酸化イットリウムを用いて、酸化物TFTs(Thin Film Transistors)用のゲート誘電体を作製した。アニール処理した酸化イットリウムは、小さいリーク電流密度(<10^-6 Acm^-2)や高い誘電率(約16)を有していた。さらに、酸化イットリウム誘電体をスピンコートして作製した透明ZnO-TFTsは、高い電界効果移動度(135 cm^2/Vs)、低い閾電圧(1.73 V)、そして大きなオン/オフ電流比(5.7×10^7)を有しており、透明フレキシブルデバイスへの適用が期待される。(saka)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/c2jm34162j

 

●California NanoSystems Institute のXiangfeng Duan ら、電子材料としてのグラフェンの総説を発表 (Advanced Materialsより)

2012年8月29日

アメリカ、California NanoSystems Institute のXiangfeng Duan らは、エレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、センサー、電気化学系、およびエネルギー技術などの様々な分野で応用が期待されている電子材料、グラフェンについて解説した。グラフェンは、商業化には様々な課題が残されているが、実験段階ではすでに多くの利点や新しい機能を示している。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201482/abstract

 

●Hanyang UniversityのSeung Soon Imら、PEDOTナノファイバーを電極に用いて高性能な色素増感型太陽電池を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年8月29日

韓国、Hanyang UniversityのSeung Soon Imらは、PEDOTナノファイバーを電極とし、高い変換効率(9.2%)を示す色素増感型太陽電池を作製した。直径10-50 nm、導電率83 S/cmのPEDOTナノファイバーは、SDS(sodium dodecyl sulfate)からなるミセルナノリアクター中で化学的に合成された。低抵抗のPEDOTナノファイバーからなるポーラスネットワーク構造を有する対向電極を用いることで、バルクのPEDOT電極や白金電極を上回る変換効率を達成した。また、サイクリック・ボルタンメトリーや電気化学的インピーダンス分光法の結果から、このファイバーは、三ヨウ化物を効率的に還元し、高い電流密度(17.5 mA/cm2)と高い曲線因子(72.6%)を寄与していることが判明した。(tpe)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM34807A 

 

●Beneq、フレキシブルなCIGS太陽電池のロール・ツー・ロール生産のプロジェクトに参加 (Beneqプレスリリースより)

2012年8月30日

フィンランドの薄膜コーティング装置メーカー、Beneqは、欧州委員会の第7次フレームワーク計画(FP7)の中で、フレキシブルなCu(In,Ga)Se2(CIGS)太陽電池モジュールをロール・ツー・ロールプロセスにより生産するプロジェクトに参画すると発表した。(cow)

http://www.beneq.com/news.html#n1

 

●ソーラーフロンティア、CZTS太陽電池の変換効率で世界記録を達成 (ソーラーフロンティアプレスリリースより)

2012年8月30日

ソーラーフロンティアは、IBMコーポレーション、東京応化工業株式会社、DelSolar社と進めるCu2ZnSnS4(CZTS)太陽電池の共同研究において、世界最高のエネルギー変換効率11.1%を達成した。CZTS太陽電池は、入手し易く安価な原材料(Cu、Zn、Sn、S、Se)を主成分とした化合物系太陽電池のひとつである。レアメタルフリーでコスト競争力に優れており、また、量産化にも適しているため、次世代太陽電池として期待されている。(saka)

http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2012/C009560.html

 

●Peking UniversityのDechun Zouら、ペンインクを用いたファイバー状スーパーキャパシタを開発 (Advanced Materialsより)

2012年8月31日

中国、Peking UniversityのDechun Zouらは、2つのファイバー状電極とらせん状スペーサーワイヤ、電解質からなるフレキシブルでウェアラブルなカーボンベースのスーパーキャパシタを開発した。このスーパーキャパシタは、市販ペンインクを電気化学的物質として利用し、非常に高い静電容量性能を達成した。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201202930/abstract

 

●東芝、グラフェンと銀ナノワイヤーを用いて新たな透明電極フィルムを開発 (東芝プレスリリースより)

2012年9月4日

東芝は、グラフェンの超薄膜と銀ナノワイヤー薄膜を重ねた透明導電フィルムを開発した。この透明導電フィルムは、ITOと同等の導電性を有することと、ITOの約3倍の波長範囲で透明であることが特徴である。更に、塗布プロセスで作製できるため、安価、簡便に作製できる。(cjkim)

http://www.toshiba.co.jp/rdc/rd/detail_j/1209_02.htm

 

●山形大学の時任静士ら、印刷技術で擬CMOSインバーターを作製 (読売新聞より)

2012年9月4日

山形大学の時任静士らは、インクジェット法などを活用した印刷法と、塗布可能な有機材料を用いて、ガラス基板上に「擬CMOS(シーモス、相補型金属酸化膜半導体)」と呼ばれる電子回路を作製した。時任教授は「将来的にはフレキシブルディスプレイに応用したい」と話している。作製した擬CMOSは、携帯電話やパソコンなどに用いられるCMOSと仕組みは多少異なるが、同程度の性能を持つ。 (tok)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20120905-OYT8T00330.htm

 

●University of KansasのShenqiang Renら、カーボンナノ材料ベースの太陽電池を開発 (ACSNANOより)

2012年9月6日

アメリカ、University of KansasのShenqiang Renらは、カーボンナノ材料を活性層に用い、全てカーボンからなる太陽電池を開発した。還元グラフェン酸化物、半導体型単層カーボンナノチューブ、PC70BM フラーレンから構成された太陽電池は、1.3%というカーボンを活性材料として使用した太陽電池で最大の電力変換効率を示した。高効率なカーボンベース薄膜太陽電池の開発に向けた新たな可能性を示した。(cow)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nn302893p

 

●分子科学研究所の平本ら、フタロシアニンへのドーピングによりn型化・p型化の制御に成功 (AIP Advances、分子科学研究所プレスリリースより)

2012年9月7日

分子科学研究所の平本らは、不純物を微量加えるドーピングによって、フタロシアニンを自由自在にn型化、および、p型化することに成功した。さらに、フタロシアニン単独薄膜におけるpnホモ接合有機太陽電池の試作に成功した。また、他の代表的有機半導体のほとんどについて同様のpn制御ができる結果も得た。(tok)

http://aipadvances.aip.org/resource/1/aaidbi/v2/i3/p032145_s1

http://www.ims.ac.jp/topics/2012/120907.html

 

●Max-Planck-Institut Für Biophysikalische ChemieのJong-Lam Leeら、耐熱性に優れた透明導電材料を開発 (Nanoscaleより)

2012年9月7日

透明フレキシブル電極応用に向け、金属ナノワイヤは熱安定性が悪く、炭素系ナノ材料は導電性が小さいことが課題となっている。そこで、ドイツ、Max-Planck-Institut Für Biophysikalische ChemieのJong-Lam Leeらは、架橋構造を有するITO nano-branchesを開発した。ITO nano-branchesを用いた透明導電フィルムは、曲げ半径0.1 cmにも耐えうるITOバルクフィルムと比べて優れた機械的柔軟性を持っていた。また、導電性や光透過率は金属ナノワイヤ導電フィルムと同等で、200 ℃・湿度90%の環境下でも導電性を維持しており、高い熱安定性も示した。 (cow)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/NR/C2NR32228E

 

●Chinese Academy of Sciences SuzhouのQingwen Liら、透明導電性酸化物(TCO)フリーのフレキシブル光電極応用に向け、高強度な配列CNT/チタニアコアシェルフィルムを作製 (smallより)

2012年9月11日

中国、 Chinese Academy of Sciences SuzhouのQingwen Liらは、柔軟で導電性を持つCNT/チタニアコアシェルフィルムを作製した。このフィルムは、配列・相互連結したCNTがチタニアコート層で覆われたユニークな構造を有しており、追加のTCO基板なしで光電変換効率を32%まで向上させた。また、高い構造安定性を示し、数百回の曲げ試験の後でも安定した光電流を流すことが出来た。(Jo)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smll.201201168/abstract

 

●日本写真印刷、色素増感太陽電池を使った照明「AKARIE」を開発、販売開始 (日本写真印刷プレスリリースより)

2012年9月12日

日本写真印刷株式会社は、EneLEAF(島根県産業技術センターと共同で開発した色素増感太陽電池)を使ったオフグリッド照明器具「AKARIE」を開発、販売を開始した。「AKARIE」は、組み込まれたEneLEAFが日中に発電し、夜間に内蔵のLEDが点灯する仕組みである。発電、蓄電、発光という3つの機能が組み込まれているため、設置する際にも電気工事が不要となる。 (uwa)

http://www.nissha.co.jp/news/2012/09/12as_2.html

 

●The Institute of Photonic Sciences のtonglai chenら、保護層としてグラフェンを用いたITOフリー透明導電膜を作製 (Nanotechnologyより)

2012年9月12日

スペイン、The Institute of Photonic Sciences のtonglai chenらは、アルミニウムをドープした酸化亜鉛と銅薄膜を単層グラフェンでキャッピングし、透明導電膜を作製した。この透明導電膜は、高温多湿(95 ℃/95%RH)および高温保持(180 ℃)処理後も電気的特性や光透過率が安定していた。また、曲げに強いグラフェンの機械的特性により、優れたフレキシブル性も実現している。(tpe)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/39/395603

 

●慶応義塾大学の白鳥ら、真空プロセスなしで有機薄膜太陽電池セルを作製 (日刊工業新聞より)

2012年9月12日

慶応義塾大学の白鳥らは、安価な次世代太陽電池として期待されている有機薄膜太陽電池のセルを、真空プロセスなしで作ることに成功した。これまで真空を要していた電極層の形成プロセスについて、張り合わせで形成できる方法を開発した。試作したセルの変換効率は約2%である。試作したセルは半透明で、裏表両面からの光で発電できるため、新たな用途が期待できる。(tok)

http://www.nikkan.co.jp/dennavi/news/nkx0720120912qtki.html

 

●Shanghai Jiao Tong Universityの Pingkai Jiangら、自己組織化現象を利用して、3次元グラフェンネットワークを有する高導電性ナノコンポジットを作製 (ADVANCED FUNCTIONAL MATERIALSより)

2012年9月12日

中国、Shanghai Jiao Tong UniversityのPingkai Jiangらは、ポリスチレン(PS)またはエチレンビニールアセテート(EVA)をマトリックスに用い、自己組織化3Dネットワーク構造を有するグラフェンコンポジットフィルムを作製した。PSコンポジットフィルムは、グラフェン含有量が4.8 vol%のとき、1083.3 S/mの高い電気伝導度を達成した。これは、材料を単純に混合して作製したコンポジットフィルムより高い値であり、自己組織化3Dネットワーク構造が有効であることを示している。また、EVAコンポジットフィルムは、高い電気伝導性だけでなく、高い柔軟性も示した。(Jo)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201201231/full

 

●名古屋大学、CNT-TFTをフレキソ印刷で作製、移動度112 cm^2/Vsを達成 (日経Tech-Onより)

2012年9月13日

名古屋大学の大野雄高とバンドー化学から成る研究チームは、フレキシブルディスプレイなどに向けた、カーボンナノチューブ(CNT)を用いたTFTをフレキソ印刷技術で作製した。作製したCNT-TFTのチャネル長は115 μmで、オン/オフ比は10^4、キャリア移動度の値は、112 cm^2/Vsとディスプレイの駆動TFTにも十分使えるほど高かった。(uwa)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120907/238712/?ref=ML

 

●大阪大学の辛川・能木ら、太陽光で発電可能な紙を開発 (高分子学会プレスリリースより)

2012年9月14日

大阪大学産業科学研究所の辛川・能木らは、セルロースナノファイバーと銀ナノワイヤを使って太陽光発電する紙を世界で初めて開発した。この紙は軽くて折り畳めるので、どこにでも簡単に持ち運んで発電することができる。木材から取り出した幅15 nmのセルロースナノファイバーを使っているため、処分も容易で、環境への影響も小さいことから、新たな太陽電池として注目される。 (uwa)

http://www.spsj.or.jp/koho/61T_5..pdf

 

●ソニー、グラフェンを高品質で量産する技術開発 (日刊工業新聞より)

2012年9月14日

ソニーは、グラフェンをロール・ツー・ロール方式で高品質かつ大量生産する技術を開発した。作製したグラフェンの大きさは現状で幅21 cm、長さ100 mで、電気伝導率は従来の大量生産技術で作られたグラフェンより、最大で約50倍高かった。基板となる銅薄膜のみに直接高熱をかけて、品質を上げることが出来た。また、反応炉全体を加熱しないため、コストを下げられ、大量生産ができる。14日に松山市で開かれた第73回応用物理学会学術講演会で、成果を発表した。(park)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320120914aaat.html

 

●Ynvisible、印刷技術で作製したディスプレイを航空券に採用 (Ynvisibleプレスリリースより)

2012年9月18日

ポルトガルYnvisibleは、印刷技術で作製したディスプレイを搭載した航空券がポルトガルSATA航空に採用されたと発表した。リスボンとアゾレス諸島間のフライトのプロモーションとして広告などを表示する予定である。下記PDFにてデモ画像あり。(cow)

http://www.ynvisible.com/sites/default/files/sata_press_en.pdf

 

●University of DelawareのTsu-Wei Chouら、CNTファイバーで伸縮性導体を開発 (ADVANCED MATERIALSより)

2012年9月18日

アメリカ、University of DelawareのTsu-Wei Chouらは、カーボンナノチューブ(CNT)ファイバーを用いた伸縮性導体を開発した。伸縮性導体は、CNTファイバーをポリジメチルシロキサン(PDMS)中に撹拌させた後、プレストレッチした基板へ形成・キュアして作製した。伸縮性導体は、40%ひずみ以内の一軸延伸および繰り返し延伸では電気的抵抗値変化が1%以内と安定していた。(tpe)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201202174/abstract

 

●Monash University のWenlong Cheng ら、極薄金ナノワイヤを用いて、高強度な透明導電膜を作製 (ADVANCED MATERIALSより)

2012年9月18日

オーストラリア、Monash University のWenlong Cheng らは、非常に薄い金ナノワイヤを用いて、厚さ約2.5 nmと極薄でありながら大面積の金属薄膜を作製した。この金属薄膜は、可視光透過率90-97%、シート抵抗~1142 kΩ/□、破断強度~14 N/mである。(inu)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201202241/abstract

 

●Virginia Polytechnic Institute and State UniversityのMarwan Al-Haikら、複数種の導電性ナノフィラーを含むナノ複合材料の導電率を予測するシミュレーションモデルを開発 (Nanotechnologyより)

2012年9月18日

アメリカ、Virginia Polytechnic Institute and State UniversityのMarwan Al-Haikらは、1種類の導電性ナノフィラーを含むナノ複合材料の導電率を予測する従来のシミュレーションモデルを拡張し、複数種の導電性ナノフィラーを混合したナノ複合材料のシミュレーションモデルを開発した。拡張したモデルを用いることで、グラファイトとカーボンナノチューブを混合したナノ複合材料の導電率を予測可能になった。

また、シミュレーション結果より、アスペクト比の大きい導電性フィラーが特に有効で、少量加えるだけで、ナノ複合材料の導電率を何桁も高めることが判明した。(saka)

http://iopscience.iop.org/0957-4484/23/40/405202

 

●The University of TexasのRodney S. Ruoffら、単層グラフェンを用いて透明でフレキシブルな熱音響デバイスを開発 (ADVANCED MATERIALSより)

2012年9月18日

アメリカ、The University of TexasのRodney S. Ruoffらは、大面積の単層グラフェンを用いて、透明でフレキシブルなスピーカーを開発した。その熱音響特性は、支持基板とその幾何学的形態に大きく影響を受ける。特に、基板の表面多孔性を上げることで音圧が向上することが判明した。(tpe)。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201201782/abstract

 

●パナソニック、業界最薄、業界最高の熱伝導率を有するグラファイトシートを開発 (パナソニックプレスリリースより)

2012年9月19日

パナソニック株式会社デバイス社は、スマートフォンなど高機能携帯端末の熱対策に最適な、業界最薄の10 μmと業界最高の熱伝導率1950 W/mKを実現した熱伝導シート「PGSグラファイトシート(10 μm品)」を製品化した。 (uwa)

http://panasonic.co.jp/news/topics/2012/102963.html

 

●Imec、皮膚のようにストレッチャブルでフレキシブルな電子デバイスを公開 (Imecプレスリリースより)

2012年9月19日

ベルギーのナノエレクトロニクス研究機関Imecは、皮膚のような伸縮性・柔軟性を持ち、かつ薄型の電子デバイスを公開した。この技術はスマートクロージングや医療分野への展開が期待される。 (hsieh)

http://www2.imec.be/be_en/press/imec-news/imecflexelect.html

 

●Chinese Academy of SciencesのChun-yan Liuら、1工程で調製可能な銀塩インクを開発 (Journal of materials chemistryより)

2012年9月19日

中国、Chinese Academy of SciencesのChun-yan Liuらは、エチレングリコール(EG)/エタノール(EA)混合溶媒中に、酢酸銀と錯化剤としてエタノールアミンを添加することで、1工程で調製可能な 銀塩インクを作製した。銀塩インクは、直接紙に印刷でき、硫酸紙に印刷した後、200 ℃で加熱すると良好な導電性を示した。このとき、EGとEAの比率を1:1にすることで、コーヒーリング現象が抑制された。(cow)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/jm/c2jm34264b

 

●Tsinghua UniversityのFeiyu Kangら、酸化グラフェンを酸存在下で超高速熱処理することで、高性能なスーパーキャパシタを開発 (ADVANCED MATERIALSより)

2012年9月19日

中国、Tsinghua UniversityのFeiyu Kangらは、酸アシスト超高速熱処理法(acid-assisted ultrarapid thermal strategy)を用いた機能化グラフェンで、高性能なスーパーキャパシタを開発した。機能化グラフェンは、疑似静電容量と電子二重層静電容量を併せ持つシート構造を有しており、従来のバッテリに匹敵する高い電気容量を持つグラフェンベース電極の開発が期待される。(cow)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201202774/abstract

 

●東芝、有機薄膜太陽電池サブモジュールで最高効率7.7%を達成 (東芝プレスリリースより)

2012年9月20日

東芝は、NEDOの委託事業「太陽光発電システム次世代高性能技術開発」によって開発した塗布型の有機薄膜太陽電池技術を用いて、サブモジュールの変換効率は世界最高の7.7%、セルの変換効率では9.2%を実現した。膜厚がナノスケールの多層膜を均一かつ高精度にパターン形成可能なメニスカス塗布技術と、太陽電池のモジュール構造をシミュレーションする技術を用いることで、有機薄膜太陽電池サブモジュールで世界最高変換効率を実現した。(saka)

http://www.toshiba.co.jp/rdc/rd/detail_j/1209_03.htm

 

●Sungkyunkwan universityのNae-Eung Leeら、還元グラフェン酸化物ナノシートとPEDOT:PSS複合化した、ストレッチャブルな透明導電電極を開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年9月20日

韓国、Sungkyunkwan universityのNae-Eung Leeらは、還元グラフェン酸化物ナノシートと、導電性ポリマーPEDOT:PSSのナノコンポジットからなるストレッチャブルな透明電極材料を作製した。

GOナノシートに界面活性剤を加えて機能化した後、 PEDOT:PSS溶液に添加すると、分散性が増し、作製した薄膜ナノコンポジットの導電性が向上した。シート抵抗は68 Ω/□、光透過率は86%を示した。(Jo)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM33949H

 

●Tel Aviv UniversityのGil Markovichら、有機発光ダイオードに向けた透明でフレキシブルな金-銀ナノワイヤメッシュ電極を作製 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年9月21日

イスラエル、Tel Aviv UniversityのGil Markovichらは、金-銀ナノワイヤメッシュを用いた極薄の透明フレキシブル電極を用いた有機発光ダイオード(OLED)を作製した。ITOを用いたOLEDに比べて、安価かつフレキシブルで、電極間の短絡が抑制された。高電圧をかけることでトップ-ボトム間の短絡が解消されたことからITOの代替材料として期待される。 (inu)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM35291E

 

●大阪大学のJinting Jiuら、高強度パルス光を使ってフレキシブルなプラスチック基板に強固に密着した銀ナノワイヤ透明導電膜を作製 (Journal of Materials Chemistry より)

2012年9月24日

大阪大学のJinting Jiuらは、PET基板に強く密着し、かつ低いシート抵抗と高い光透過性を示す銀ナノワイヤ透明導電膜を作製することに成功した。1.14 J/cm^2の高強度パルス光をわずか50ミリ秒間照射することで、ワイヤ間やワイヤとPET基板間が強く密着する。波長 550 nmでのこの透明導電膜の可視光透過性は83%で、シート抵抗は19 Ω/□を示した。(t.suga)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/jm/c2jm35545k

 

●University of WashingtonのAlex K.-Y. Jenら、光トラッピングと光カップリングを向上させた透明な薄膜銀電極を用いてフレキシブルな有機太陽電池を作製 (ADVANCED MATERIALSより)

2012年9月24日

アメリカ、University of WashingtonのAlex K.-Y. Jenらは、ITOを用いず、曲げても安定な動作をするフレキシブル有機太陽電池をPEN基板上に作製した。太陽電池は、マイクロキャビティ内の光カップリングを高めるため銀層(透明導電膜)-銀層(裏電極)間にTeO2層が設けられ、5.8%の発電効率を持つ。著者らは、TeO2の厚さを変化させてマイクロキャビティ共鳴を制御し、性能を向上させている。(tpe)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201203099/abstract

 

●トッパン・フォームズ、国際標準規格に対応した「バッテリーレス電子ペーパーラベル」を開発 (トッパン・フォームズプレスリリースより)

2012年9月26日

トッパン・フォームズは、国際標準規格であるISO/IEC15693に準拠した、バッテリーレス電子ペーパーラベルを開発した。バッテリーレス電子ペーパーラベルは、印刷配線技術を活用した背面電極基板と無線で駆動するコントローラーを採用しており、プリント配線板を使用した一般的なモジュールと比較して格段に薄く(表示部0.4 mm厚)フレキシブルであり、バッテリーレスで表示の書き換えや保存が可能である。また、ISO/IEC15693に準拠したコントローラーを新たに開発したことで、表示の書き換え距離を従来の約3倍となる20 cm以上に伸ばすとともにカタカナを含めた10文字までの表示を可能とした。(saka)

http://www.toppan-f.co.jp/news/2012/0926.html

 

●三菱化学、「明るさ」と「電力効率」をいっそう向上させた調色・調光型有機EL照明パネルを開発 (三菱化学プレスリリースより)

2012年9月27日

三菱化学株式会社は、明るさと電力効率をいっそう向上させたフルカラー調色・調光型有機EL照明パネルを開発し、「VELVE」ブランドの新製品として、子会社の三菱化学メディア株式会社を通じて発売することを発表した。この新製品は、白色光表現をより重視することで、従来品の約2倍の輝度(2000 cd/m^2 (色温度が3000 Kの時))と、約1.5倍の電力効率(51.6 lm/W (輝度が1000 cd/m^2の時))を実現した。また、色温度は1200~6500 Kの間で自由に設定できる。(saka)

http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/2012/20120927-1.pdf

 

●産総研、シリコン性能超える素子をポリマー上で作製 (日刊工業新聞より)

2012年9月28日

産業総合技術研究所の前田らは、住友化学と共同で、高分子材料のポリマーに接合した化合物半導体層を使用し、400 °C以下でシリコンの性能を超えるトランジスタを作製する技術を開発した。ナノメートルサイズの半導体層に高分子のポリイミドを直接接合させることで実現した。開発した素子には、300 nmという極薄のポストシリコン材料であるインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAS)層を使用した。この層を基板上に結晶成長させ、ポリイミドを使ってシリコン上に貼り付け、ポリマーに直接接合した半導体層を使うことで400 °C以下の温度でトランジスタが作製できた。(park)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0720120928eaai.html

 

●昭和電工、電子回路形成用導電性インクを開発 (昭和電工プレスリリースより)

2012年10月1日

昭和電工株式会社は、国立大学法人 大阪大学の菅沼らと共同で、印刷により自由にパターン形成が可能な銀ナノワイヤーインクを開発した。この銀ナノワイヤーインクに光焼成技術(Photonic CuringTM)を組み合わせることにより、高い安定性を持つ透明導電パターンをフレキシブルなフィルム上に形成することが可能となった。(saka)

http://www.sdk.co.jp/news/12736/13052.html

 

●University of South AustraliaのDrew R. Evansら、金属並みの導電性を持つ高分子材料を開発 (CHEMISTRY OF MATERIALSより)

2012年10月1日

オーストラリア、 University of South AustraliaのDrew R. Evansらは、透明電極材料として幅広く用いられているITOと同等の導電性と透明性を持つPEDOTを開発した(45 Ω/□、ca. 3400 S•cm−1、可視光透過率80%)。この新しいPEDOTは、前駆体に両親媒性トリブロック共重合体を添加し、減圧下で重合することで作製された。様々な基板に塗布できることから、ITOの代替材料として期待される。(Jo)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/cm302899v

 

●Fudan UniversityのZhen-Guo Yangら、銀とアミドの複合体からなる新たな銀塩インクを開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年10月1日

中国、Fudan UniversityのZhen-Guo Yangらは、ポリオール法というシンプルな方法で、銀アミド錯体を水とグリコールの混合液に分散させた銀塩インクを開発した。また、銀イオンではなく、酸化銀が銀塩インクの焼成過程において大きな役割をしていることを明らかにした。更に、4%のグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KH-560)をインクに加えることで、密着性と導電性(18 µΩcm)を向上させることにも成功した。(cjkim)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM34569B

 

●Friedrich-Schiller-University JenaのUlrich S. Schubertら、インクジェット印刷した銀ナノ粒子インクのプラズマ焼結 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年10月1日

ドイツ、Friedrich-Schiller-University JenaのUlrich S. Schubertらは、大気圧アルゴンプラズマ焼結法を銀ナノ粒子インクに適用し、焼結速度、基板との適合性等を検討した。焼結時間を数秒に減らせるのに加えて、導電性はバルクの銀に比べ10%向上した。さらに基板全体ではなく、特定の場所への焼結が可能であった。大気圧でのプラズマ焼結は、ロールツーロール生産プロセスに利用可能と期待される。(uwa)

http://pubs.rsc.org/En/content/articlelanding/2012/JM/C2JM35586H

 

●京セラディスプレイ、形状を変えずに放熱性を向上させた液晶表示装置を開発 (日刊工業新聞より)

2012年10月3日

京セラディスプレイ株式会社は、放熱性を向上した車載用液晶表示装置(LCD)を開発した。特殊な水溶液を用い、ヒートシンク(放熱板)表面を化学反応させることで、形状を変えることなく放熱性を従来製品に比べて2割高めた。これにより方向安定板をはずしても高い放熱性を維持できるため、製品の薄型化に貢献する。新たなLCDに1 Aの電流を2時間流した結果、従来品の上昇温度(63 °C)より2割程度の放熱性向上(57 °C)を確認した。(park)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320121003bjbg.html

 

●The Hong Kong University of Science and TechnologyのJang-Kyo KIMら、大面積のグラフェン-単層カーボンナノチューブハイブリッド透明導電フィルムを開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年10月4日

中国、The Hong Kong University of Science and TechnologyのJang-Kyo KIMらは、グラフェン酸化物と、カルボキシル化された単層カーボンナノチューブの大面積のハイブリッド透明導電フィルムをLangmuir-Blodgett(LB)法で作製した(シート抵抗:180-560 Ω/□, 光透過率:77-86%)。単分子膜を積層させるLB法が用いられているので、転写後のプロセスが必要なく、透明導電光電子デバイスの簡便な製造に非常に適している。(cow)

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2012/JM/C2JM34870E

 

●NEDOとコニカミノルタアドバンストレイヤー、ITOを用いない次世代透明導電膜で有機ELパネルを開発 (日経Tech On、EE Times Japanより)

2012年10月4日

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とコニカミノルタアドバンストレイヤーは「CEATEC JAPAN2012」において、ITOフリーな透明導電膜を使用した有機ELパネルを発表した。本有機ELパネルは、NEDOプログラムに基づいて開発したものであり、「次世代塗布型透明導電膜」を電極に用いている。なお、コニカミノルタアドバンストレイヤーは、「どのような素材を使っているかは公表できない」としている。(saka)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20121002/243291/?ST=fpd&ref=rss

http://eetimes.jp/ee/articles/1210/04/news100.html

 

●日本電気硝子、「見えないガラス」をスマホやタブレット向けに提案 (日経Tech-Onより)

2012年10月4日

日本電気硝子は、表面反射率が0.08%程度と低い「見えないガラス」を、「CEATEC JAPAN 2012」で発表した。見えないガラスは、ガラス表面に反射防止機能膜を16層形成することで、反射率を0.08%程度に抑えたものであり、従来の反射防止ガラスでは「3~5層」であるため、3倍以上となる数の膜を積層している。反射防止膜の材料そのものは、「一般的に用いられる誘電体多層膜」(同社の説明員)であり、スパッタリング法で成膜している。(uwa)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20121004/243977/?ST=fpd

 

●Rice UniversityのMatteo Pasqualiら、ディップコーティングで高特性のCNT透明導電膜を作製 (ACS NANOより)

2012年10月6日

アメリカ、Rice UniversityのMatteo Pasqualiらは、10 µm長のカーボンナノチューブ(CNT)を用いて高特性の透明導電膜(100 Ω/□、可視光透過率90%)を作製した。CNT透明導電膜は、クロロスルホン酸(CSA)を分散媒とするCNT液にガラス基板を浸漬してコーティングした後、CSAを除去することで作製された。この作製方法は、CNTの長さや特性を保つことが可能で、通電の妨げとなる界面活性剤が必要ない上に、CNT濃度や浸漬スピードにより、コーティング層を制御可能であるという点で優れている。(tpe)

http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/nn303201g

 

●txtr GmbH、単機能な小型E-Ink電子書籍リーダー「txtr Beagle」を発表 (txtr GmbHプレスリリースより)

2012年10月9日

ドイツの電子書籍ベンチャーtxtr GmbHは、価格9.90ユーロ(約1000円前後)以下を実現する電子書籍リーダー端末「txtr beagle」を発表した。txtr beagleは、5インチ画面の「E-Ink」端末を搭載しており、重量は電池込みで128 gと非常に軽量である。電源は単4電池2本を使用し、電池1セットで年間12~15冊を読むことができる。(saka)

https://static.txtr.com/sites-upload/corporate/files/txtr_beagle_release_3.pdf

 

●豊田中央研究所の石崎ら、低温接合に向けた銅ナノ粒子のワンポット合成法を開発 (Journal of Materials Chemistryより)

2012年10月11日

豊田中央研究所の石崎らは、脂肪酸およびアミンで覆われた銅ナノ粒子をワンポット合成することに成功した。炭酸銅や水酸化銅などの不溶性塩類に、脂肪酸あるいはアルキルアミンを混合し、ポリオール還元することで実現した。この銅ナノ粒子は、既存のはんだより低い300 °Cで接合することができ、既存のはんだと同等のせん断強度(30 MPa)を達成した。(inu)

http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/JM/C2JM34954J

 

●住友化学、オランダの研究機関であるホルストセンターと有機EL照明で連携 (日刊工業新聞より)

2012年10月12日

住友化学は、高分子の発光材料を印刷して作製する有機EL照明パネルの研究開発で、オランダの研究機関であるホルストセンターの共用研究プログラムに参加した。電機や素材などプログラム参加メーカーとの連携により、2015年までに明るさが蛍光灯並みで、生産コストを抑えた一般照明への展開を目指す。(saka)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820121012aaat.html

 

●Trinity College DublinのJohn J. Bolandら、電荷を印加することで、金属ナノワイヤネットワークの接合を制御 (NANO LETTERSより)

2012年10月12日

アイルランド、Trinity College DublinのJohn J. Bolandらは、金属ナノワイヤネットワークの接合状態と導電性を、電圧を印加することで調整する新たな手法を開発した。電子顕微鏡によるその場観察と抵抗値測定を行うことで、ネットワークの接続状態変化を可視化することに成功した。この技術は全ての金属ナノワイヤネットワークに適用できるため、今後の幅広い応用が期待される。 (cow)

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl303416h

 

●Korea UniversityのKwang S. Suhら、銀ナノワイヤネットワークを利用して透明でフレキシブルなヒーターを作製 (ADVANCED FUNCTIONAL MATERIALSより)

2012年10月15日

韓国、Korea UniversityのKwang S. Suhらは、銀ナノワイヤネットワークを電極に用いた透明なフレキシブルヒーターを作製した。銀ナノワイヤと平板状のクレイを複合化することで、基板PETフィルムへの高い密着性と、銀ナノワイヤ同士の効率的な電気的接触を実現した。作製した透明なヒーターは、低電圧でも効果的で急速な温度上昇が可能で、引張・圧縮時にも特性を維持する優れた機械的柔軟性を持っていた。銀ナノワイヤを用いた透明フレキシブル電極の新たなアプリケーションと可能性を示した。(cow)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201202013/abstract

 

●テクノ環境機器、太陽光パネルをミストで冷却するシステム開発 (日刊工業新聞より)

2012年10月18日

テクノ環境機器は、パネル温度上昇による発電効率低下を防ぐために、太陽光発電パネルを水の噴霧(ミスト)で冷却するシステムを開発した。試作システムによる検証実験において、外気温28.5 °C、パネル表面温度50 °Cで、通常状態より約20%の発電効率向上を確認した。来夏の本格販売に向け、11月にも部品や部材のテスト販売、テスト施工を行う。(park)

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0520121018caac.html

 

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